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複雑系に関する先駆的な研究者、ウィリアム・ロス・アシュビー(William Ross Ashby)は「複雑な環境に対応することができるシステムとは、それと同じだけ複雑なシステムである」という、当たり前すぎて、逆にすごいことを言っています。
これを、特にアシュビーの法則(必要多様性の法則 / Low of Requisite Variety)と言います。 複雑な問題の解決策が複雑なのは、仕方のないことなのです。複雑な世界を生きる僕たち人間も、それと同じだけ複雑な内面を持っています。だからこそ、僕たち人間には、絶え間ない学習が求められたりもするのです。 複雑な世界に挑もうとする企業も、それと同じだけ複雑な組織を持っているでしょう。経営の世界では、よく「美しい組織を作ろうとしてはいけない」と言われます。絵に描いたようにきれいなピラミッド構造を持った組織は、現実には、うまく機能しないということです。 どこの会社でも、現実の組織図は、かなりいびつで複雑な形をしています。それは決して美しくはないかもしれませんが、そういう形にせざるをえない合理的な理由が存在することは忘れてはならないのです。それは、顧客の複雑な要求に対応するために、そして従業員の複雑な欲求を満たすためにも、必要十分な複雑さを内包しているということです。 (これから原稿を書きます) 夏休みの終わりに ![]() ●メルマガ『人材育成を考える』もよろしくお願いします。 ●twitterもやってます:http://twitter.com/joesakai #
by NED-WLT
| 2011-08-29 22:42
| ちょっぴり経営学
「ニッチ(niche)」という言葉が頻繁に用いられはじめたのは、経営学の世界ではなくて、生物学の世界でのことでした。もともと「ニッチ」とは、置物などの装飾品を飾るための壁の「へこみ」を表す言葉だったそうです。
この言葉の生物学的な意味を正しく理解すると、経営における「ニッチ戦略」という言葉の意味もはっきりします。以下『企業の適応戦略 今、ある池の中に種類の異なる魚種Aと魚種Bがいるとします。魚種Aは、温度の高いところに生息し、大きな餌(エサ)を食べて暮らしているのに対して、魚種Bは、温度の低いところに生息し、小さな餌を食べているとします。この状態を図で表現すると、次のようになります(魚種Aと魚種Bのニッチ空間比較)。 ![]() 生物学におけるニッチとは「ある特定の種が生息する、ある特定の環境(生態的地位)」という意味です。上の図のように、魚種Aのニッチと魚種Bのニッチは異なるため、魚種Aと魚種Bはお互いに資源(この場合は、適度な水温のナワバリと丁度良い大きさの餌)をめぐって競合することなく、平和に暮らせるというわけです。 実際に生物の世界では、同じ種であれば似たような環境にくらしており、異なった種であれば異なった環境に暮らす傾向が広くみられます。仮に異なる種が同じ空間を共有している場合でも、活動時間帯(昼と夜)や餌の種類などで異なる環境を上手に選んでいます。 逆に、複数の種において、このニッチに重なり合いが発生た場合、種の間で資源をめぐる深刻な争いが発生し、どちらか一方が排除されてしまうことが知られています。これを「ガウゼの競争排除則」と言います。 企業の競争状態も、上の図における「水温」と「餌の大きさ」を、それぞれ「製品スペック」と「市場」といった具合に配置すれば、ニッチ空間によって表現することが可能でしょう。これは、自社商材の競合状態を分析するときや、新規事業開発のターゲットを判断したりするときに有効な表現手段です。 (寝不足です・・・) あかり ![]() 「『あたらしい戦略の教科書』が出ます。」 2008-07-04 ●メルマガ『人材育成を考える』もよろしくお願いします。 ●twitterもやってます:http://twitter.com/joesakai #
by NED-WLT
| 2011-08-23 20:50
| ちょっぴり経営学
来週末(2011年8月26日)に、新刊『ご機嫌な職場
本書のオビにはなんと、尊敬する山本真司先生から推薦のコメントを頂戴しています。山本先生は、BCG、ATカーニー、ベインなど、世界的に有名な戦略コンサルティング企業にて20年以上にわたって要職を歴任されてきた方です。独立される直前には、ベイン東京事務所の代表パートナーを務められていました。僕にとっては、雲の上の方です。 財産よりも、もっと尊いのは「明るい性格」だ。人間の心も体と同じだ。日陰にいるのではなく、日光の照る場所に移るべきだ。困ったことがあっても、笑いで吹っとばしてしまおう。さあ、日の当たる場所に出ようではないか。様々なデータが、職場の雰囲気が悪化していることを伝えています。この傾向は、どうやら年々強調されてきているようで、これを放置しておけば、人間にとって職場は、ただお金を稼ぐためだけの場所になってしまいます。 では、職場は明るくなければならないのでしょうか?そもそも、人間にとって職場とは何なのでしょう?明るい職場と、企業の業績の間には相関性はあるのでしょうか?なぜ、現代の職場は暗くなってきているのでしょう?そして、明るい職場を取り戻すことは可能なのでしょうか? ![]() を、何卒よろしくお願い致します。 m(_ _ )m NED-WLT管理人 酒井 穣 追伸:本書もChabo!本です。本書の著者印税の20%が、特定非営利活動法人JENを通じて、世界中の難民・被災民の教育支援、自立支援に使われます。Chabo!発足以来、2011年7月末までの寄付金総額は97,570,844円と、1億円の大台が近づいています。関係各位のご協力に感謝いたします。 #
by ned-wlt
| 2011-08-17 21:25
| 著書に関すること
Twitterで知り合い、仲良くなった人の一人に、長竹慶祥さんという方がいます。長竹さんは、今、慶應SFCに通う大学3年生なのですが、一本とても強烈な「武器」を持っています。
今から4年前に、ジャグリング世界大会Jr.部門で優勝しているのです。以下、彼のプロモビデオを見てください。 若くして、こうした強烈な「武器」を持つと、それが人脈を引き寄せ、様々な世界にアクセスできるようになります。これは素晴らしいことです。 しかし「武器」が引きつけるのは、他者だけではありません。自分自身も「武器」に引きつけられるのです。場合によっては、自分の人生そのものが「武器」に取り込まれてしまうこともあります。 例えば、歌のうまい子供ということで話題になり、テレビに出てCDも出し、一時的に売れて、学校に行かず歌手になり、そして消えて行ったあの子・・・。あの子にとって、歌がうまいということは、本当に良いことだったのでしょうか。 何かを選ぶということは、その他の選択肢を捨てるということです。ですから、何かを選ぶときは、他の選択肢にはどういう魅力や可能性があるのかを吟味しないとなりません。正確に言えば、機会費用を評価する必要があります。 長竹さんは、進路選択を前にして、そんな機会費用の評価に入っています。聡明で浮いたところのない長竹さんは、もちろん「武器」の怖さを十分に理解しています。大学での勉強もしっかりやり、企業経営にも興味を持って、ジャグリング以外にも、NPO活動など、様々なことにチャレンジしています。 そんな長竹さんと僕の間には、ほとんど親子ぐらいの年齢差があります。もちろん人によるのですが、同年代の外国人よりも、年齢差のある日本人からのほうが、学びが多いと感じます。長竹さんは、僕に多くの学びを与えてくれる友人なのです。 (将来がとても楽しみです!) こびん ![]() ●メルマガ『人材育成を考える』もよろしくお願いします。 ●twitterもやってます:http://twitter.com/joesakai #
by NED-WLT
| 2011-08-13 13:31
| 日々の暮らし
友達の数は、最大でも150人が限界?イギリスの人類学者、ロビン・ダンバー教授(Robin Dunbar)が提唱した仮説です(注1)。この、人間関係の規模の限界を示す数のことを、特にダンバー数と言います。
この仮説は、Facebookなどに代表されるSNSが台頭してくるなかで、「人間は、何人まで友達を持てるのか」という文脈でネット上で有名となりました。これについて、ダンバー教授自らがコメントしているビデオが以下のものです。英語が苦にならない人は、ぜひ一度、このビデオを見てください。 ダンバー教授によると、人間の場合、こうした友達の数は150人が限界(ダンバー数)とのことです。もちろん、きっかり150人というわけではなく、この数にはバラツキもあります。が、とにかく150人程度のところに限界があるそうです。 この理由として、ダンバー教授は2つの視点を提供しています。1つは、認知の問題です。自分の周囲にいる人(個体)を、どこまで気にしていられるかということには、当然、数の限界があるだろうということです。そしてもう1つは、そうした関係を維持・発展させるために「投資」する時間には、限界があるので、自然に関係を維持できる数にも限りがあるだろうというものです。 この考え方について、経営学の視点からは、少なくとも以下のような3つの論点がありそうです。 1.組織規模の限界? ダンバー数を考慮すれば、組織規模が150人を超えるか超えないかで、管理手法が異なりそうです。顔と名前が一致する限界も150人ぐらいという俗説は、ダンバー数を知った今は、無視できないでしょう。 これを経験則から経営に取り入れてきたのが、ゴアテックスで有名なゴア・アソシエイツ社です(注2)。創業者のウィルバート・ゴア氏は、グループが150人以下であれば明確な規範がなくても従業員は同じ目標へ向かってがんばるが、150人を超えると問題が発生することを経験から学びました。 このため、ゴア・アソシエイツ社は、各部門の従業員数が150人以下になるように、従業員が増えすぎたら部門(工場)を分割するという戦略を取ってきたそうです。組織が大きくなってきたとき、このゴア・アソシエイツ社のケースは、思い出す必要があるでしょうね。 2.インターネットの登場をどう評価するか インターネットの登場によって、僕たちは、20年前に連絡の途絶えた友人とも、簡単につながれるようになりました。インターネットは、人間の認知をあきれるぐらい拡張しているし、人間関係を維持するコストも劇的に下げているのです。こうしたことから、認知と関係維持コストによって決まるダンバー数は、どう考えても、インターネットが登場する以前の150人よりも多くなっているはずです。 さらに、ダンバー数という概念は、自分と他者の間に「強いきずな」を構築することに着目しており、知り合い程度の「弱いきずな」を無価値なものとして、あまり重視していないように見えます。しかし「弱いきずな(weak ties)」にも、重要な意味があることは、米国の社会学者、マーク・グラノヴェター教授(Mark Granovetter)が明らかにしていることです(注3)。そして、インターネットには、こうした弱いきずなを量産する力があります。 3.キャリア論への応用 周囲にどのような人がいるかによって、自分のありかたは変わります。愚痴ばかり言う人に囲まれていれば、自分だってネガティブになるでしょう。逆に、前向きな人に囲まれていれば、自分もポジティブになれるはずです。ここらへんは、ミラーニューロンのことを考えれば、脳科学的にも説明がつきます。 だから「こうありたい自分」になるためには、自分の周囲に、どんな人に居てもらいたいのかを考える必要があります。そして、そうした人は、せいぜい150人ぐらいまでしか維持できないとするなら、僕たちは「誰と付き合うのか」ということに、もっと真剣にならないといけないのでしょう。 人間関係に、ポートフォリオ管理的な発想を持ち込むことに対しては、倫理的な批判があるでしょう。まあでも、僕自身の現実をオープンにすれば、僕は普段、意識して自分よりも年下のリーダーと関係を築くように心がけています。そのほうが、柔軟性と積極性を、自分の中に取り込むことができると信じているからです。 (これから、メルマガを仕上げます) (注1)もう少し正確には、霊長類が親密なグループ(群れ)を築くとき、その規模は、大脳皮質の大きさに関係する、という仮説です。 (注2)マルコム・グラッドウェルによる名著『ティッピング・ポイント』の記述を参考にしています。本書の要点は、何事にも爆発的な変化が起こるには、その前に超えなければならない境界があるということです。今回のエントリの場合は、150人を超えると、一気に関係管理の複雑性が増すという意味で、ティッピング・ポイントの文脈にも当てはまります。 (注3)この仮説に関する論文はMark S. Granovetter, “The Strength of Weak Ties”, The American Journal of Sociology, Vol. 78, No. 6 (May, 1973), pp. 1360-1380、及び”The Strength of Weak Ties: A Network Theory Revisited”, Sociological Theory, Vol. 1, 1983 (1983), pp. 201-233です。 @葉山 ![]() ●メルマガ『人材育成を考える』もよろしくお願いします。 ●twitterもやってます:http://twitter.com/joesakai #
by NED-WLT
| 2011-08-10 22:18
| ちょっぴり経営学
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