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ごあいさつ
このたび、拙著『はじめての課長の教科書 本が売れなくなって、出版不況と言われる今日にあって、こうして出版にこぎつけることが出来たのは本当にラッキーなことです。出版プロジェクトの関係者の皆様に助けられたことはもちろん、何よりも僕のブログの読者となっていただいている皆様の存在が、本書執筆の精神的な支えとなりました。 また、ブログのプラットフォームを提供していただいているエキサイト株式会社の皆様、いつもどうもありがとうございます。僕は、シンプルで動作もサクサクと速く、とても安定している御社のブログが大好きです。御社のブログが無ければ、僕は本書を書くことはなかったと思います。これからも、よろしくお願いします。 そして、本書の発表をきっかけに僕のブログに来ていただいた皆様、はじめまして。 本書を執筆した背景 僕が本書を執筆したのは、僕自身の自己顕示欲のためでもあります。しかし、それと同じぐらい切実だったのは、こうして海外に暮らすようになって、僕の中に愛国心としか表現できない気持ちが芽生え、明らかに衰退しつつあるように見える日本の将来に対して、「何か自分にできることはないのか」という焦燥感が日増しに大きくなっていたことです。愛する娘の帰るべき祖国がなくなってしまうのではないかという気持ちもありました。こうした焦燥感は、これまで僕のブログでもずっと根底に「気分」として流れていたと思います。 しかしながら、いまさら僕が『日本~の危機』とか『格差~』といった本を書いたところで、日本は何も変わらないというのは明らかなことに思われました。「日本ヤバイ!」というお祭りじみた現状の認識は、すでに先人が十分に働いた(煽った)ところであり、僕のような素人が出版という方法で付け加えるべき新規性はどこにもないばかりか、そういう本は商品としても競争が激しすぎる(=レッド・オーシャン)マーケットでの戦いを強いられることははっきりしています。無名の僕としては、それはとても挑戦できるマーケットではないのです。 いつしか、本を執筆するということに自己顕示欲を超えるような意味が見出せなくなり、「目の前にあるビジネスを通して、結果として社会に何かポジティブなインパクトを与えて行ければそれでよい」と思うようになっていました。ある僕が尊敬する方の言葉を借りれば、「そもそも「国のため」と最初から意気込んで乗り込んできた奴が、ろくに国のためになった試しがない」という結論に、僕も達していたのです。 ただ・・・オランダに暮らしている僕の場合は、いかにポジティブなインパクトを社会に与えてみたところで、それは日本とはほとんど関係が無い、せいぜい今勢いに乗っているヨーロッパに限定されるということが、やはり常々心にひっかかっていたのです。 ある日、自分の関わるベンチャー企業で、中間管理職の経験者を採用する業務に当たっていたときのことです。僕は自分が「中間管理職を雇うんだったら、絶対に日本人が欲しいなぁ」と考えていることに気が付きました。僕は「日本の中間管理職は、欧米で見てきた中間管理職よりも何倍も優秀だ」と感じていたのです。 あっ!日本の優秀な中間管理職の存在こそが、もしかしたら日本独自の強み(=ブルーオーシャン)なんじゃないか? 僕はこの瞬間に、これを、この気持ちを、自信を失いつつある日本の中間管理職に伝えるべきだというモチベーションを得ました。「国のため」ではなくて、「自らの強みに気が付いていない日本の中間管理職のため」という視座を得た僕は、「もしかしたら日本の中間管理職を元気付けることが、日本の閉塞感を氷解させることにつながるのではないか」という期待も少しは持って(笑)、日本の中間管理職の代名詞である「課長」を題材として、もはや僕にとっては第二の祖国となったここオランダで、本書の執筆をはじめたのです。 本書の内容 本書執筆に至った背景には、たしかに上に述べたような「青臭い熱さ」があります。しかし本書の内容は、日々のビジネスに役立つ実用書たるよう、確固とした実学へのフォーカスを持って、ハートは熱くとも、クールな頭で書いたつもりです。そこには一切、「日本を救う」というような大それた視点を明示したつもりはありません。行間にはそれが感じられちゃうかもしれませんが(笑)。 課長って、いったい何なのでしょうか。課長の重要性を強調するために本書(47ページ)で使用した図が、本書がどのような本なのかというイメージを得るための助けになると思うので、以下にアップしてみます。会社内での情報の流れに関する考察です。大雑把なモデルですが、結構便利です。 ![]() 皆様へのお願い 本書は、新任の課長や現在課長としてご活躍されている方々にはもちろん、いつか課長になりたいと考えている係長クラスの人にこそぜひ読んでいただきたいと考えております。何故なら、係長こそが未来の課長であるからというのは当然としても、係長にとって課長の仕事とは、課長になってからできるようになれば良いというものではないからです。係長は、課長の仕事を引き受けることができる人材であるということが広く社内で証明されなければ、課長に昇進することはできないのです(もちろん、地位が人を育てるという面もありますが)。 有名、無名に関わらず、ブログなどの個人発信メディアで取り上げていただいた本書の書評はGoogle検索(Googleアラート)に引っかかる限り、基本的に全て読み、今後の参考とさせていただく所存です。 ![]() を、何卒よろしくお願い致します。 m(_ _ )m NED-WLT管理人 酒井 穣 ![]() この度の本ブログ管理人カミングアウトによって、僕のブログの匿名性は消失します。それに伴い、これまでのリンクをそのまま公開し維持することが、皆様にとって今後なんらかのご迷惑となる可能性が想像されたため、リンクの公開を停止することとしました。これまで通り、こちらから皆様のところに遊びに行かせていただくことに変わりはありませんが、相互リンクという状態は切れてしまいます。何卒、この無礼をお許し下さい。今後とも、どうかよろしくお願い致します。 ■追記(2008年2月1日) 皆様、あたたかいコメントありがとうございます。twitettaさまのコメントにある通り、あのアルファブロガー小飼弾さまより、拙著にはとてももったいない書評を頂戴しました。よろしければ、そちらもごらんいただければと存じます。今後とも、よろしくお願いします。 ■追記(2008年2月2日) 僕のハンドル「NED-WLT」は、今後もずっと使用するつもりです。短縮形で「NED」でも問題ないです。僕としては、このハンドルに勝手に感じている、「どこか明るくなりきれない感じ」が気に入っております(笑)。でも、ハンドルのスペルミスには気をつけて下さいね(笑)。 ▲
by NED-WLT
| 2008-01-31 05:30
| 著書に関すること
いつだって「自分は、このままで良いのだろうか」なんていう具合に悩んでいます。既に中年となった今では、勢いのある後輩にあっさりと追い抜かれ、焦ったりすることも多くなりました。でもこういうのは、どんなにキャリアを積み上げてみたところで、きっと無くなることのない暗い感情なのだと思います。
この感情の根は、僕の人格の全てを支配しかねないほどに、強烈で危険なものです。どこか意味のないところに、無理やり意味を見出そうとするかのような、行動として表出するものは前向きに見えたとしても、その本質は逃避に違いありません。 今からもう25年も前(1983年)の映画なのですが、僕がそれをビデオで中学生のときに初めて観て以来、何度も繰り返し楽しんでいる『ノスタルジア 先日、僕たちと同じように祖国を離れてオランダに暮らすロシア人夫婦、ポーランド人夫婦との会食の席で、このタルコフスキーの話題が出て『ノスタルジア』のことを思い出し、また久しぶりにこの作品を観たのでした。 『ノスタルジア』でタルコフスキーが描いた病は、たんに異国から祖国を思う病だけではない。それはまた人間の、自分自身からの、または自分のルーツや大地からの疎外の表現でもある。宗教というのは文化的に生まれたものではなくて、人間の脳の構造に起因して生まれる遺伝的なものであるという考え方があります。この考え方によれば、信仰を持たない僕のような人間というのは、ある意味で人間として不自然な状態にあると言えるはずです。僕は、この不自然さが、もしかしたら先の「焦り」のような感情を生み出しているのではないかと疑っています。とはいえ、自分が今から信仰に目覚めることはまずないでしょう。 狂人が「そこをロウソクの火を消さずに横断することができたなら、世界は救われる」という温泉の浴槽で、心臓の悪い主人公がロウソクに命をかけるシーンは、カミュの『シーシュポスの神話 女:「神は何て言ったの?」この作品は本当にホタテの貝柱のようなもので、一度味わっただけで、その価値を理解することはまず不可能です。しかし、わずか5センチという単位でも車の位置を直したりして撮影されたというカットは、その全てが現代でも真似のできないほどに上質な「写真集」としての美を持っているので、写真集のスライドショーとしても楽しめます。もし、まだこの作品に触れたことがないのならば、一度図書館で(注3)鑑賞してみて下さい。 (おしまい) (注1)壮絶なる利他的な死に、『ベートーベンの第九番』を重ね合わせるなんていうカットのルーツも、『エヴァンゲリオン』のオリジナルではなくて、おそらくはこの『ノスタルジア』の狂人の死のシーンにあるのです。クリエーターであれば、必見の作品ではないでしょうか。 (注2)カミュの『シーシュポスの神話』のすばらしさは、今から5年ほど前に、HN「いと」という方にMSNのチャットで教わりました。非常に深い教養を持っていた彼には、毎夜チャットで色々と多くのことを教わっており、今でも彼に深く感謝しているのですが、残念ながら当時からコンタクトが切れてしまっております。 (注3)文化的な作品として相当有名な映画なので、多くの図書館がこれをビデオで所有しています。なにもいきなり買う必要はなくて、まずは図書館で数回これを観てみることをオススメします。 ![]() ▲
by NED-WLT
| 2008-01-30 01:49
| 書評&映画評
数多く存在する経営ツールの中で、ここ最近、利用率でも満足度でも、急速に地位を高めているのが、CRM(Customer Relationship Management)です。昨年末のHarvard Business ReviewでもCRMの躍進ぶりが他の経営ツールとの比較という文脈で好意的に取り上げられています(注1)。
CRMの成功例としておそらく最も有名なのがAmazon.comのケースでしょう。Amazon.comはユーザーの購買履歴や過去にチェックした商品のデータに基づいて、ユーザーごとに異なる「お勧め」の商品情報を提供してくれます。さらにユーザーが好みそうな新刊情報も、定期的にメールで知らせてくれたりもします。この舞台裏には、大規模なCRMのITシステムが構築されているのです。 とはいえ、Amazon.comのビジネス・モデルには「凄い」と関心しても、実際にオンライン・ショップとは縁の無い仕事をしている人にとっては、CRMという言葉自体が馴染みのないものではないかと思います。仮にCRMという言葉を知ってはいても、それはオンライン・ショップなどに限定される複雑で高価なIT技術として理解している人が多かったのではないでしょうか。 しかし近年のビジネスの現場では、CRMはいよいよ「オンライン・ショップ向けのIT技術」という狭い枠を離れて、本来のCRMが目指すところの「究極の営業コンセプト」として成熟しつつあるように見えます。金融や小売はもちろん、外食産業や不動産、製薬業界やハイテク産業、メーカー、「オフ」ライン書店、各種サービス産業、果ては官公庁にもCRMは浸透しつつあります。言ってみれば、これまではマニア向けの無線技術のようなものだったのが、誰でも気軽に使える携帯電話に進化しつつあるという感じです(注2)。 CRMは、形の上では複雑なITシステムなわけですが、その本質は「企業の営業力を高める」という人間的なもので、決してオンライン・ショップに限定されるものではありません。もう少し具体的には、以下に挙げる3つの「営業の常識」に対応するための企業の能力が、CRMによって劇的に改善される(可能性がある)のです。その結果、これまでの潜在顧客は新規顧客へ、これまでの普通の顧客は常連客(ファン)へとステップ・アップされる(可能性が高まる)のです(注3)。 営業の常識1.新規顧客の獲得は、既存顧客の維持よりも何倍も難しい 新規顧客から注文を得るためには、既存の固定客から注文を得る場合の5倍~10倍のコストがかかると言われます。ですから、まずは既存顧客を大切にすることが営業のコアになります。そして、CRMによって十分に満足させられた既存顧客こそが、新規顧客を獲得するための「最高の営業マン」になるというのは、ブログなどの個人発信メディアが発達している現在、ますます認識されるべきポイントになってきています。 営業の常識2.既存顧客も、企業からのコンタクトが無いと離れて行く 一度は顧客になってくれた人も、放っておかれると自動的に気持ちが離れて行き、いつのまにか顧客ではなくなってしまうものです。顧客から何の音沙汰もなくとも、企業の側から積極的にコンタクトをかけて行かないとならないのです。とはいえ、スパムのように顧客を煩わせてしまってはなりません。このコンタクトのさじ加減は、顧客によって様々です。CRMは、それぞれの顧客の好みに合ったフォローアップの設計を助けます。 営業の常識3.顧客満足度は、トラブルへの対応で決まる トラブルの発生しない製品など、まず存在しません。トラブルが発生したら、それを「顧客との関係構築のチャンス」と考えるのも営業の常識です。そうした意味では、カスタマー・サポートの重要性が、今ほど高まっている時代もないでしょう。特にコールセンターは、顧客からすれば、その企業の態度を代表しているわけで、企業としては対応の上手いエース級の人材を配置すべき場所になってきています。重役がコールセンター内に意図的にデスクを持っている企業も少なからずあると聞きます。CRMは、限られたエース級の人材を有効に活用するためにコールセンターに必要となる人員数を最小限とし、さらにトラブル発生時の対応の質を改善できます。 まとめ CRMは、いわゆるネット系企業以外の多くの分野でも導入が進み、使い勝手も相当に向上しているようです。実際に経営者からのCRMへの信頼も高まっています。ただし、ITシステムとしてのCRMは、いかにそれが成熟したとしても、あくまで道具にすぎず、そこには各企業なりの「現場のノウハウ」をパラメーターとして詰め込まないと、ほとんど意味を成さないという点には注意が必要です。いかに道具が良くても、その使い方が命であるのは当然でしょう。 自社の製品にとって「最高の営業マン」となるのは、いつの時代も「満足した顧客」だったのですが、近年はブログなどの個人が発信するメディアの登場によって、顧客の満足度が製品の売り上げに与える影響がさらに高まっていると考えられます。そのため、既存顧客を満足させるノウハウをいかに集め、それを正しく、かつ迅速にCRMのパラメータ化するかが勝負の最重要ポイントになりそうです。 こうしたパラメータの設定は、基本的に血の通った人間がintelligenceを発揮するべきところなのであって、今後は行動心理学や社会統計学に通じだ「CRMアナリスト」的な職種が熱くなってきそうだと感じます。 (おしまい) (注1)論文は「Darrell Rigby and Barbara Bilodeau, “Selecting Management Tools Wisely”, HBR December 2007 issue, p20」です。ちなみに、経営ツールとしての企業ブログは、利用率でも満足度でも低い評価が与えられていました。また、具体的にどのようなシステムを指しているのかはちょっと疑問ですが、Knowledge Managementは利用率は上がっているものの、満足度が停滞したままという興味深い結果になっていました。CRMに社内SNSを連結させて、全社員の力で顧客を観察するような「CRMとKnowledge Managementの融合」なんていうのも、面白い分野になってくるかもしれませんね。 (注2)要するにキャズムを超えたわけです。今後は、ITに詳しくない人も、それがITの世界ではCRMと呼ばれていることすら知らないままに、CRM的なツールを普通に利用するようになるでしょう。もちろん「ポイントカード」のように、その導入費や維持費の割には、なかなか結果が出ないような難しい例も増えて行くでしょう。 (注3)企業から見た顧客には、ロイヤリティー(企業やブランドへの忠誠心)の形成にいくつかの段階があることが知られています。ここでは、潜在顧客、新規顧客、普通の顧客、常連客という4段階で示しましたが、実際のCRMでは、もっと細かな分類がなされます。 (蛇足)CRMとは直訳すれば「顧客関係管理」となり、本来は顧客との関係を維持し改善するということを指す、ITに限定されないものです。以前は、これを特にITに限定したい場合は、eCRMと呼ばれていたのですが、いつのまにか先頭の「e」は省略されるようになりました。E-mailがただメールと呼ばれるのと同じような感覚だと思われます。こうしたIT機能における「e」の省略は、その機能の成熟を示すバロメータにもなりそうです。 ![]() 「アウトソーシングを考える」 2007-05-25 「セールスとマーケティング」 2005-07-16 「重要度を増すinformationとintelligenceの違いに関して」 2007-10-15 ![]() ▲
by NED-WLT
| 2008-01-28 04:22
| ちょっぴり経営学
ソロモンの指環と言えば、旧約聖書に出てくるソロモン王が、動物と自由に話をするために使ったという魔法のアイテムです。しかし、そんな魔法の指環がなくとも、動物と自由に「会話」をすることが出来る人物が20世紀のヨーロッパに現れたのです。本書の著者である、動物行動学者コンラート・ローレンツ(ノーベル賞受賞者)です。
本書『ソロモンの指環―動物行動学入門 いわゆるあまりに人間的なものは、ほとんどつねに、前人間的なものであり、したがってわれわれにも高等動物にも共通に存在するものだ、ということを理解してもらいたい。心配は無用、私は人間の性質をそのまま動物に投影しているわけではない。むしろ私はその逆に、どれほど多くの動物的遺産が人間の中に残っているかをしめしているにすぎないのだ。動物の中にこそ、人間を理解するためのヒントが隠されているのだということを教えられ、非常にスッキリしました。 (おしまい) ![]() 「吸収力に関する理論-1」 2006-02-16 ▲
by NED-WLT
| 2008-01-26 10:17
| 書評&映画評
支払いは「payment」ですが、これが分割払いとなると「installment(s)」と言う表現になります。インストールというと、普通はソフトのインストールや、取り付け、据付などを意味するので、それと混乱しないように注意が必要です(注1)。特に分割払いでの購入を強調したいときは「payment by (in) installments」とか「installment plan」という具合になります(注2)。
分割払いでの購入を、もう少し上品な感じで表現したいときは「hire-purchase(HP)」という表現(イギリス英語っぽい)が使われます。ここらへんの表現が使えるようになると、「おっ、コイツ英語解ってるな」というイメージを読み手に与えることができるようになる・・・かもしれません(笑)。 ピーターパンで「夢の国」を意味する「never-never land」が語源だと思うのですが、「on the never-never」も、分割払いを意味する、ややスラングっぽい表現です。「I bought a car on the never-never.(私は車を分割払いで買った)」というふうに使います。 ネバネバということで脱線しますが、海外在住者にとっては「never-never」というと思い出されるのは、やはり伝説のホームページ「Never-Never-Land」でしょう。トルコに駐在されていた管理人の方が、納豆恋しさに、ついに納豆を自分で作ってしまうのですが、このホームページでは、そのときに得た納豆製造のノウハウが惜しげもなく公開されています。我が家では「まだ」納豆の製造には手を染めておりませんが、可能性は否めません(笑)。 (おしまい) (注1)日本語でインストールを意味する名詞は「installation」で、「installment」とは異なります。混乱しないように注意する必要があります。 (注2)このスペルは、Lを重ねたり(installment)、重ねなかったり(instalment)します。 ![]() 「英会話の勉強法(案)」 2007-01-25 「お金の時間的価値 (Time Value of Money)」 2007-04-25 ▲
by NED-WLT
| 2008-01-24 03:00
| ビジネス英語カユイ所
医師が患者に対して、効果の無いニセの薬を与えても、患者がそれを「薬」だと信じ込むことによって、何らかの良い効果が出ることがあります。こうした効果は特に「プラセボ効果」と呼ばれ、実際に多くの医師が過去にこうしたニセの薬を処方した経験を持っていると言われています。
こうしたニセの薬に効果を認めるというのは、心理学的に最先端なことのようにも感じますが、よく考えてみれば、現代のように科学技術が発達する以前の人間にとって「薬」という存在は、そのほとんど全てがシャーマンによる呪術とセットになった「プラセボ的」なものだったはずなのです。 このプラセボ効果という言葉は基本的には医学用語なのですが、「プラセボ的」であるという具合に、その概念を勝手に医学から拡張して考えてみると、お守り、ジンクスや占い、血液型による相性診断などにも、似たような人間らしい心理が見られることがわかります。 たまにメディアを沸かせる「ニセ医者」の評判が、それとバレるまでは意外と良かったりするのは、こうしたニセ医者は、その存在からしてプラセボ的だったりするからばかりでなく、そもそも人間はプラセボ的なもの「も」求めているという面もあるのでしょう。多くのいわゆる「代替医療」に、時として認められる効果というのも、こうしたプラセボ的な視点から、ある程度までは説明がつくのではないかと思います。 言うまでもなく、ゲーム脳や水伝などに代表される、科学を装った擬似科学やニセ科学は良くないことだと思いますし、僕はそれらを擁護するつもりはありません。しかし科学のみに価値を与え、こうしたプラセボ的な視点を完全に失ってしまうというのもまた、「人間らしい弱さ」を直視しないことによる別の問題があると思うのです。 取り扱いには相当な注意が必要になるものの、プラセボ的なものに「も」意味があるというのは、先のエントリ「マーケティング手法、FUDの存在を知る」でも取り上げましたが、人間にはリスクそのものばかりでなくて「不安、不確かさ、疑念」という感情を持つこと自体を避けたがるという性質が備わっているからだと考えられます。 何らかの病気を疑っても、偉い医者(少なくともそう見える人間)にかかって、良く効くという薬のひとつでももらえば、FUDをある程度までは取り除くことができ、その結果として精神的な余裕が生まれ、症状が快方に向かう(こともある)ということなのでしょう。 人間の心理的な力学というのは、論理的に正しいことばかりが原動力となっているわけではないという事実は、神社の参拝にあれだけの人が集まることと合わせて、それをただ軽蔑したりせずに、人間の複雑な面の1つとして理解しておく必要があるのではないかと思うのです。 (おしまい) ![]() 「マーケティング手法、FUDの存在を知る」 2007-12-12 「ハロー効果 (halo effect)」 2007-08-30 「ラベリング効果 (labeling effect)」 2008-01-11 ▲
by NED-WLT
| 2008-01-21 02:23
| 時事評論のまね
日常会話では、「garnish」は「garnish with」という用法で「~を・・・で飾る」という意味で使います。特に料理などの盛り付けに関する表現として頻繁に見かけるように思います。名詞「garnishment」には、飾りという意味以外にも、「美辞麗句」なんていう意味もあります。
ところがこの単語は、ビジネスの現場では一転して「(債権などを)差し押さえる」という意味で使われることが多くなります。基本的に、この「差し押さえ」という意味での「garnishment」は、court order(裁判所の命令)があってはじめて発生するイベントです。 「差し押さえる」と聞くと、なんとなく不動産や宝石などの嗜好品がその対象となるイメージがありますが、「wage garnishment」といって、日本語でいうところの「給与天引き」に近い感覚の差し押さえもあります。一般的には、離婚後の子供の養育費や、その他の賠償金などがこの「wage garnishment」の対象になります。 さて「差し押さえる」と「飾る」というのは、ずいぶんと違う意味のように思われます。しかし「garnish」の語源となっているフランスの古語「garnir」(元をたどればラテン語)には、広義に「守る」という意味があり、そこから派生して、「債権者の権利を守る」ということが「差し押さえる」となり、防具などの装飾から「飾る」という意味が生まれたと考えられます。 (おしまい) ![]() 「英会話の勉強法(案)」 2007-01-25 「起業とアイディアの不幸な関係」 2007-06-05 ▲
by NED-WLT
| 2008-01-19 01:02
| ビジネス英語カユイ所
無償のボランティアに、アルバイト程度の金銭報酬を渡したところ、かえってボランティア活動の効率が下がってしまったというような調査結果があります。LinuxやWikipediaなどに代表される、いわゆる「オープンソース的」なアプリケーションの開発なども、金銭的な対価が無いからこそ成り立っているという部分は無視できません。
こうした自らの内側から沸きあがるような「内発的」なモチベーションというのは、他人から報酬などの形で「外発的」なモチベーション(注1)が与えられると、減少してしまうケースが意外と多いのです。楽しくて自分のためにやっていた活動も、何らかの形で他人にコントロールされるようになると、「しらけて」しまうという感じでしょうか。 このように、モチベーションを高めることを意図した外発的な報酬が、内発的なモチベーションにもたらす「負の効果」のことを特に「アンダーマイニング効果」と言います(注2)。経営学では、このアンダーマイニング効果は「単純に給与を上乗せさえすれば、従業員のモチベーションを高めることができるわけではない」という文脈でよく使用される言葉です。 ここで知っておきたいのは、外発的なモチベーションというは、内発的なモチベーションと比較して持続力に乏しいということです。一度、金銭的な報酬に頼ったモチベーションのコントロールをすると、モチベーションの「維持費」のために多くのお金が必要になってしまうのです。 アンダーマイニング効果は避けたいものの、外発的なモチベーションにも効果があることは動かせない事実です。特に短期的に高い目標を達成しないとならないときには、十分に大きい金銭的な報酬や職を失うほどの脅威を「目標」とリンクさせることに高い効果があることは広く知られています。また、アンダーマイニング効果というのは外発的なモチベーションによって必ず発生するというものではなく、受け手となる人の認識の仕方次第という部分も大きいという点には注意が必要です。 これは外発的なモチベーションを与えてはいけないというのではなく、外発的なモチベーションの効果を過大評価せずに、その与え方を注意して、内発的なものとのバランスを考えましょう、という話です。・・・とはいえ、やはり給与はそれなりに欲しいですけどね(笑)。 (おしまい) (注1)外発的なモチベーションには、報酬ばかりでなくて、上司に監視されていたり、期限などの面で厳しい制約が課されたり、「これをやらないと~」という感じで脅されたりするといった、ネガティブで外発的な「圧力」に押される形で生まれるモチベーションも含まれます。自ら進んで勉強をやる気になっていたところに、親から「勉強しなさい!」なんて言われて、さっきまでのやる気をすっかり失ってしまった経験は誰にでもあると思います。ああしたものも、アンダーマイニング効果の例として位置づけることができるでしょう。 (注2)「undermine」には、「土台を削り取る」とか「(健康などを)蝕む」という意味があります。いわゆる「アメとムチ」によるコントールというのは、知らず知らずのうちに内発的なモチベーションの「土台を削ってしまう」可能性があるということです。 ![]() 「余暇に感じる罪悪感」 2007-05-22 「ハロー効果 (halo effect)」 2007-08-30 「牙は折れたか」 2005-03-22 ![]() ▲
by NED-WLT
| 2008-01-17 02:46
| ちょっぴり経営学
ちょっとだけ時期を外しましたが、冬の風物詩とも言えるバレエ、『くるみ割り人形』を家族で観てきました。田舎のホールでの公演でしたので、残念ながら本来は合唱(出来れば子供による合唱)であるべき「雪のシーン」が、オーケストラによる演奏に編曲されているバージョンでしたが、それでも娘にとっては初めて生で観る本格的なバレエで、娘はとても興奮しておりました。
![]() ![]() (おしまい) ▲
by NED-WLT
| 2008-01-14 02:23
| 日々の暮らし
健康診断の結果「異常なし」とわかると元気が出てきたり、逆に「問題アリ」とされると、必要以上にナーバスになってしまうのが人間というものでしょう。「病院に行くと、病気になってしまう」という皮肉も、あながち嘘とはいえない部分もあるのです。
こうした現象は、もちろん医療現場の外でも非常によく見られる現象で、特にラベリング効果と呼ばれます。ラベリング効果を広い意味で定義すれば、「ある事象に特別な言葉や名称(ラベル)を付けることで、その事象に関する印象に影響を及ぼすこと」という感じでしょうか。 「レッテルを貼る」という表現にはもちろん、「言霊」とか「名は体を表す」なんていう表現にもラベリング効果の存在が強く感じられます。このラベリング効果は、経営学という文脈では大きく3つの応用分野が考えられます。製品ブランドの管理、人事管理と企業のアイデンティティー管理です。 1.製品ブランドの管理とラベリング効果 製品名そのものが非常に重要であることは当然として、そうした製品の中身を伝える宣伝(キャッチ・コピー)がブランドの管理においては非常に重要になります。同じ製品でも、その製品の説明のしかたによって実際に売り上げが変わるという経験をしたことのある人も多いでしょう。 ネガティブなところでは、輸入物を国産と偽るような産地の偽装なんていうのも、当然ラベリング効果による恩恵を狙ってのことです。学歴が一般にブランドという文脈で理解されることが多い背景にも、学歴ブランドのラベリング効果があると考えられます。 僕の大好きな映画『紅の豚 2.人事管理とラベリング効果 「地位が人を育てる」と言いますね。これは、その地位になれば、それ相応の経験が積めるからという面もありますが、それだけではなくて、そうした地位を表す「肩書き」がラベリング効果を発揮するという側面も認めないとなりません。 肩書き名称の管理というのが、人事にとって非常に重要なものであるというのは「肩書きなんて、意味がない」という一般ウケのする台詞が世間にあふれているせいか、意外なほどに忘れられているように思います。 また正式な肩書きでなくとも、自らの部下に望む働きを示すような非公式な肩書き(例えば、~スペシャリスト)を与えることにも、良いラベリング効果が期待できると思われます。 3.企業のアイデンティティー管理とラベリング効果 「取り扱い製品の情報を、会社名に含めるべきではない」と言われることがあります。そのほうが顧客には解りやすいというメリットもあるのですが、製品に関することを会社名にしてしまうと、会社としてそれ以外の製品を扱うのが心理的にも難しくなるという「負のラベリング効果」が無視できないからです(注1)。社名変更がなされる背景を注意深く見ていると、多くのケースが、この負のラベリング効果を改善しようとしていることが伺えます。 昨日、松下電器産業がパナソニックに社名を改名するという発表がありましたが、ライバルであるソニーが(旧)東京通信工業から名称を変更したのが1958年だったことを考えても、これはむしろ遅すぎたぐらいでしょう。この社名変更によって、松下はブランドの混乱に終止符を打てるばかりでなく、何よりもあの偉大な創業者の縛りを超えて「電器産業」以外の分野にも自由に羽を伸ばせるようになったわけですから。この社名変更とブランド統一にかかる費用は300億円とのことですが、その価値は十分にある英断だと思います。個人的には、「大きくとも変われる企業だ」というかなりポジティブな印象を受けました。戦略的には、『巨象も踊る もちろん社名意外にも、企業理念やCMのメッセージ(この点に関しては「コカコーラ vs. ペプシ」をどうぞ)などが、企業のアイデンティティーを形成するために重要なラベリング効果を発揮するというのは明らかでしょう。 まとめ 日本の昔話に『大工と鬼六』という話があります。大工が鬼の名前を言い当てると、鬼は力を失い退散するという話です。この話は、「適切なラベルを与えることで、弱いものでも、恐ろしく強いものをコントロールできる」と読むことが出来ます。しかしこれを鬼の立場で読むならば、「何らかのレッテルを貼られるということは、それによって本来の力が封印されてしまう」ということでもあるのです。 ラベリング効果というのは、自分がそれをコントロールしている限りは「目的を達成するためのツール」なのですが、ひとたび自分がその影響下に入ってしまうと、力を弱められたり、合理的な判断が妨げられてしまうことも多いという諸刃の剣です。危険性を理解しつつ、上手に付き合いたいものです。 (おしまい) (注1)もちろん、担当製品ごとに別会社として、会社名と製品名を一致させるという戦略も考えられます。こうすることで「解りやすさ」を得ることはできますが、その代わりに、グループ全体でのブランド力などは失われるでしょう。また、法律事務所や会計事務所、病院や学校法人などのように、専門性が向こう100年ぐらいは変化しないと思われる場合は、むしろ製品名が会社名に反映されているほうが良いのかもしれません。 ![]() 「マーケティング手法、FUDの存在を知る」 2007-12-12 「ハロー効果 (halo effect)」 2007-08-30 「コカコーラ vs. ペプシ」 2005-04-15 ![]() ▲
by NED-WLT
| 2008-01-11 02:08
| ちょっぴり経営学
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