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  <title>NED-WLT:ケースメソッド</title>
  <category scheme="http://nedwlt.exblog.jp/i31/" term="ケースメソッド" label="ケースメソッド"></category>
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  <modified>2011-02-09T23:21:39+09:00</modified>
  <author><name>NED-WLT</name></author>
  <tabline>オランダから帰国し、日本での生活がはじまりました。twitter: joesakai</tabline>
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    <title>オリジナルケース#2： MCCエレクトロニクス社</title>
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    <issued>2010-09-04T11:42:00+09:00</issued>
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    <created>2010-09-04T11:42:14+09:00</created>
    <author><name>NED-WLT</name></author>
    <dc:subject>ケースメソッド</dc:subject>
    <content type="html"><![CDATA[来る9月30日（木）に、中原淳准教授（東京大学）が主催する、慶應MCCの講座『ラーニングイノベーション論』のファイナルトラックにて講義を行います。このエントリにまとめられたオリジナルケースは、この講座参加者への課題として執筆されたものです。尚、このケースに書かれている内容は全て、会社名や人物名などを含めてその一切が架空のもの（フィクション）であり、本文はケースメソッドによる学習のための資料として作成されたものです。純粋な学習用途であれば、出典を明らかにしていただける限りにおいて許可無くこのケースを使用していただいて問題ありません。ただし商用用途での複製・引用をお考えの場合は、著作権者である当ブログ管理人までご連絡ください。<br />
<br />
MCCエレクトロニクス社<br />
MCCエレクトロニクスは、創業1954年の電子部品メーカーである。従業員数は単体で4,300人、連結では16,700人という堂々たる大企業で、海外拠点もアジアと欧米に複数持っている。2008年より続いた金融危機は、2009年末より回復のきざしを見せ、これまで「労働賃金の安い製造拠点」として認識してきた新興国が、一転、製品の「主要な販売市場」として台頭してきている。<center><img src="https://pds.exblog.jp/pds/1/201009/04/05/c0071305_1119324.jpg" alt="_c0071305_1119324.jpg" class="IMAGE_MID" height="282" width="425" /></center>MCCエレクトロニクスは、これまで新興国にも多くの電子部品を販売してきたが、それらは日本国内ではとても売れないような廉価品であった。しかし今年は、日本国内ではまだ買い手がいないような先端品が、日本では有り得ないようなボリュームで新興国に売れているのである。売上の海外依存度が60％を越えるMCCエレクトロニクスは、このグローバル・マーケットの変革期を上手く乗り越えなければならない。<br />
<br />
2008年には、中国での販売・製造を担当している、戦略的に最も重要な子会社のCEOを、日本人（本社から派遣されている駐在員）から中国人（子会社の内部昇進）に変えている。また2009年には、中国とマレーシアでの投資資金を得るため、社債を発行した上に、不動産のいくつかを売却していた。<br />
<br />
●林梅炎CEO<br />
<br />
新たに中国子会社のCEOに抜擢された林梅炎（りん・ばいえん）は、1990年に上海交通大学の理工学部で精密センサーによる制御技術を学んだ後、MCCエレクトロニクスの中国子会社に採用された。その後、会社の留学制度を利用して（子会社からの制度利用としては1期生となった）2004年に慶應大学のMBA（KBS）に学んだ後、MCCエレクトロニクスの東京本社（経営企画室）で2年ほど働き、中国の子会社に戻ってマーケティング本部の本部長となっていた。<br />
<br />
林梅炎は、日本語はもちろん英語も堪能なので、中国のマーケティングのみならず、旧イギリス領で英語が通じ、中国人華僑が経済の中心を牛耳るマレーシアのマーケティングまで担当していた。中国子会社やマレーシア営業所での人望も高く、日本的な仕事の仕方にも精通しているとはいえ、若干43歳の林梅炎がCEOに抜擢された（東京本社にいる役員の平均年齢は58歳）ことは、MCCエレクトロニクス・グループ全体に「時代の変化」を感じさせた。<br />
<br />
●マレーシアETCグループ<br />
<br />
マレーシアは、イギリスの植民地時代より特定の農作物や鉱物の生産が盛んだったが、マハティール前首相の指導の下、2020年までに先進国入りするとの目標を掲げ、工業化を進めている。そうした政策のなかで、マレーシアを代表する企業集団となったのがETCグループだった。<br />
<br />
1982年に自動車メーカとして創業を開始したETCグループは、後に、工業用ロボットから家電まで手広く扱う、企業コングロマリットに成長した。グループの従業員数も10万人を越え、中国やインドが「世界の工場」から「世界の市場」に変化する流れをつかまえて、現在もグループの売上成長率20％以上という、この規模にしては驚異的なスピードで成長を続けている。<center><img src="https://pds.exblog.jp/pds/1/201009/04/05/c0071305_11223098.jpg" alt="_c0071305_11223098.jpg" class="IMAGE_MID" height="282" width="426" /></center>ETCグループの購買戦略は、幅広い製品群の間で、できるだけ共通の部品を使うことで、一度に大量の共通部品を調達し、スケールメリットによるコスト削減を狙うというものだった。部品メーカーにとっては、ひとたびETCグループに部品が採用されれば、その部品は長期に渡って大量に売れるため、ETCグループの戦略的な優先度は世界的にも極端に高くなっていた。MCCエレクトロニクスも、2006年よりETCグループへの食い込みを経営の最優先課題とし、2007年からデモ対応などをしてきたものの、なかなか突破できないでいた。<br />
<br />
●コンサルタント陳耐軒の採用<br />
<br />
この状態に風穴を開けたのは、中国子会社のCEOに就任したばかりの林梅炎が2008年の夏に連れてきたコンサルタント、陳耐軒（ちん・たいけん）であった。陳耐軒は、もともと米国の大手自動車メーカーの経営企画室で室長を勤めた後に、米系の戦略コンサルティングに転進し活躍した人物で、その後、マレーシアにおいて小さなコンサルティング・ファームを起業していた。<br />
<br />
陳耐軒が持っていたのは、MCCエレクトロニクスの人材には足りなかった自動車産業への深い理解と、マレーシアという土地での人脈の広さであった。陳耐軒は、数ヶ月のうちにETCグループの中核であるETCオートモーターの経営企画室に出入りするようになり、得意の経営コンサルタント的な動きをしつつ、ETCオートモーターの幹部に、MCCエレクトロニクスの競合優位性を納得させていった。<br />
<br />
そんな中、MCCエレクトロニクスの競合が陳耐軒の引抜きを画策していることを知ったMCCエレクトロニクスが陳耐軒をマレーシア営業所の所長として迎えたのは、とても自然な流れであった。ただ、日本語が全く話せない陳耐軒のコントロールは実質的に林梅炎だけが握っていたので、いちいちMCCエレクトロニクス本社への情報伝達が遅れ、部品の納期、品質、コストをめぐって、本社が驚かされるということがしばしばであった。<br />
<br />
●MCCエレクトロニクス、英語力の現在<br />
<br />
MCCエレクトロニクス・グループの外国人比率は年々伸び続け、現在では15％を越えるまでになっている。今後、日本国内におけるビジネスの成長はほとんど期待できないのに対して、新興国の市場成長率は年率で10％を越える勢いがある。<br />
<br />
こうした背景から、2010年6月の取締役会で、代表取締役の井上豊（いのうえ・ゆたか）は、社内公用語の即時英語化を議題にあげた。北米と中国に駐在経験があり、大学時代にはイギリスへの留学経験のある井上豊にとっては、それが最も合理的に思えたのだろう。しかし、取締役会に出席していたほかの役員からは、英語力の有無に関わらず「即時というのは早急すぎる」という意見が多数出ることになり、社内公用語の英語化は「今回は」見送られる結果となった。<br />
<br />
とはいえ、MCCエレクトロニクスの新卒採用では、すでに「将来のグローバル要員」という採用ポリシーが取られているし、昨年より、若手から中堅への昇進条件にTOEICの点数（700点以上）を取り入れている。社内ヒアリングを実施した結果、MCCエレクトロニクスの公用語が「いずれ英語になる」という空気は、特に若手従業員の間ではむしろ好意的にシェアされているようだ。例えば、MCCエレクトロニクスでは、会社の留学制度を利用して英語圏に留学をした先輩社員を講師として「英語でMBAのエッセンスを学ぶ」という自発的な英語勉強会が組織されている。<br />
<br />
若手従業員にとっては、この勉強会でのネットワークが社内人脈の形成に大切な役割を持っているので、人事が「幹部候補」として目をつけている若手は、ほぼ例外なくこの勉強会に参加している。<center><img src="https://pds.exblog.jp/pds/1/201009/04/05/c0071305_11263621.jpg" alt="_c0071305_11263621.jpg" class="IMAGE_MID" height="294" width="408" /></center>MCCエレクトロニクスのグローバル化にとって最大の障壁は、おそらく40代と50代を中心とした中間管理職層である。中間管理職層は、たとえエース級の人材であっても「英語アレルギー」と言ってしまってよい人材が大多数を占めている。即、社内公用語が英語ということになれば、この層の人材の能力は、今の半分も期待できないだろう。とはいえ、彼らの残業時間のデータを見る限り、彼らに「英会話学校に通え」とは容易には言えそうにない。<br />
<br />
●マレーシア営業所の成長<br />
<br />
マレーシア営業所の営業成績は2008年から2009年にかけて4倍になった（資料１参照）。それでもまだ、ETCグループのほんの一角を崩したにすぎないレベルなので、遅くとも2年以内には、営業所から関連子会社になることは確実視されている。<br />
<br />
営業所の従業員数も、2008年にスタートしたときの3人から、わずか1年で80名にまで増え、人員計画上は、2010年末には200名体制になるのだという。MCCエレクトロニクスの「古きよき時代」を知らない世代は、この人員計画を「無謀」と考えたが、創業後20年の成長を見聞きする役員たちにとっては、この人員計画は「創業二度目の大波」を予感させた。<br />
<br />
ただ、これまで本社で「問題児」扱いされてきたセンサー事業部が120名の日本人で成り立っていたことを考えると、主にセンサー部品を扱うマレーシア営業所とは規模の逆転現象が起こってしまう。実際に、マレーシア営業所とセンサー事業部の間の「政治的な混乱」も、日常的に聞こえてくるようになった。そして、マレーシア営業所の従業員のほとんどは英会話を問題なくこなすものの、日本語を話すことはできなかった。<br />
<br />
●監査役の指摘と中国電点グループ案件<br />
<br />
2010年になって、マレーシアETCグループと密な取引のある中国電点グループからの引き合いが急増してきた。これを中国子会社CEOの林梅炎一人でさばくのは難しいということで、新たに電点グループを専門に担当するアカウント・チームが形成されたが、顧客である電点グループの経営層はもちろん、このアカウント・チームも日本語が不自由であり、本社サイドには英語でのコミュニケーションが求められた。英語力のある若手は、この状態をむしろ喜んでいたようだが、中間管理職層は、中国への出張すら嫌がっている様子であった。<br />
<br />
林梅炎が電点グループ案件にかかりきりになるにつれて、マレーシア営業所の陳耐軒は、経営的な判断を、英語力のある会社の上層部に限定して求めるようになっていた。特に代表取締役の井上豊との関係が深まっているのが誰の目にも明らかになったとき、8月の監査役会で「経営判断が、本来あるべき取締役会や経営会議ではなく、英語力のある一部の役員の間でなされている」ことが「重大なリスク」として指摘された。<br />
<br />
●人事定例ミーティング（2010年9月30日）<br />
<br />
国内における全てのMCCエレクトロニクス・グループの人事系の部署から幹部クラスが集まる会合が、2010年9月30日に開かれた。その場には、人材開発グループを統括する「あなた」も出席している。グループ企業間における人事制度のアライメント問題、メンタルヘルス問題、賞与をより業績スライド型にするプロジェクトの進捗報告、新卒・中途の採用問題、労務問題・・・いつものように、多くの重要な議題が取り上げられた。<br />
<br />
いつもと違ったのは、今回の定例会議からアジェンダに含まれることになった「グローバル化対応について」であった。先の取締役会の件や、グループ各社のTOEIC平均点（500±30点であった）、全従業員に対する外国人比率の上昇トレンドの件などが報告された。そしてここにきて、今日はまだ一言も言葉を発していなかった、MCCエレクトロニクスの人事担当役員（全グループ人事系トップ）の坂口実（さかぐち・みのり）が口を開く。<br />
<br />
「きみ、慶應で人材開発を学んできたんだろう？次の定例までに、うちのグループをもっとグローバルな企業集団にするための人材開発ロードマップを作ってきてくれないか？」<br />
設問１：MCCエレクトロニクスにグローバル化が求められる理由をまとめなさい。<br />
設問２：グローバルな企業集団とは何か。自分の言葉で定義しなさい。<br />
設問３：グローバルな企業集団を支える人材の人材要件を書き出しなさい。<br />
<br />
＊＊＊<br />
資料１：MCCエレクトロニクスの財務諸表<center><img src="https://pds.exblog.jp/pds/1/201009/04/05/c0071305_11351587.jpg" alt="_c0071305_11351587.jpg" class="IMAGE_MID" height="319" width="462" /></center><center><img src="https://pds.exblog.jp/pds/1/201009/04/05/c0071305_11353828.jpg" alt="_c0071305_11353828.jpg" class="IMAGE_MID" height="159" width="460" /></center><br />
資料2：MCCエレクトロニクスの社是<center><img src="https://pds.exblog.jp/pds/1/201009/04/05/c0071305_11374154.jpg" alt="_c0071305_11374154.jpg" class="IMAGE_MID" height="369" width="500" /></center><br />
<br />
●メルマガ『人材育成を考える』もよろしくお願いします。<br />
●twitterもやってます：http://twitter.com/joesakai]]></content>
  </entry>
  <entry>
    <title>オリジナルケース#1： LBマテリアル社</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://nedwlt.exblog.jp/14089087/" />
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    <issued>2010-04-03T19:20:00+09:00</issued>
    <modified>2011-02-09T23:21:39+09:00</modified>
    <created>2010-04-03T19:20:50+09:00</created>
    <author><name>NED-WLT</name></author>
    <dc:subject>ケースメソッド</dc:subject>
    <content type="html"><![CDATA[来る5月20日（木）に、組織学習システム研究会（注）にて講義をします。このエントリにまとめられたオリジナルケースは、この研修会参加者への課題として執筆されたものです。尚、このケースに書かれている内容は全て、会社名や人物名などを含めてその一切が架空のもの（フィクション）であり、本文はケースメソッドによる学習のための資料として作成されたものです。純粋な学習用途であれば、出典を明らかにしていただける限りにおいて許可無くこのケースを使用していただいて問題ありません。ただし商用用途での複製・引用をお考えの場合は、著作権者である当ブログ管理人までご連絡ください。<br />
<br />
LBマテリアル社<center><img src="https://pds.exblog.jp/pds/1/201004/03/05/c0071305_18422918.jpg" alt="_c0071305_18422918.jpg" class="IMAGE_MID" height="283" width="424" /></center>LBマテリアル社は、主に半導体の検査装置を製造・販売する中堅企業でである。1967年の創業より、コメ農家向けに農機（トラクタ、田植機、管理機などの農業機械）を製造していたが、営業課長（当時）だった春川泰幸（はるかわ・やすゆき）の掛け声により、1990年に半導体の検査装置の分野に新規参入をする。<br />
<br />
この新事業が台湾において大きな成功を収め、現在は半導体の検査装置がLBマテリアル社の総売り上げの9割を占めるまでになっている。春川はこの新事業の業績が認められて出世街道を駆け上がり、2004年には48歳（当時）の若さで社長に就任している。リーマンショック以降、しばらく調子が悪かった半導体の検査装置市場は2010年に入って回復の兆しを見せており、中長期的にも成長が期待できる状況にある。<br />
<br />
一方、同じLBマテリアル社の農機の売上は1990年以降ほとんど横ばいだったが、検査装置事業部の躍進の影で、社内での政治的な地位の下落と、従業員の高齢化に直面していた。農機事業部の売上は、LBマテリアル社総売り上げの1割にすぎないが、従業員は全社のおよそ4割、300名弱の陣容を抱えていた。<br />
<center><img src="https://pds.exblog.jp/pds/1/201004/03/05/c0071305_1855944.jpg" alt="_c0071305_1855944.jpg" class="IMAGE_MID" height="154" width="480" /></center>農機事業におとずれたチャンス<br />
<br />
日本の農機は日本国内の小規模な農家の需要に合わせて、機体がコンパクトで扱い易く、かつ急な斜面にも対応するように開発されてきた。これに対して、米国や他の国で開発されてきた農機は、広大な農地に対応する超大型なものばかりという特徴がある。<br />
<br />
ここに来て、アジアの新興諸国では人口増加とともに食糧問題が深刻化してきており、未だに水牛などに木製の農機を引かせているような各国は、いよいよ自国の農業政策の見直しをはじめている。この文脈において、山間部に小規模な農家を多数抱えているアジア諸国は、コンパクトで信頼性の高い日本の農機に注目しはじめた。<center><img src="https://pds.exblog.jp/pds/1/201004/03/05/c0071305_18581097.jpg" alt="_c0071305_18581097.jpg" class="IMAGE_MID" height="282" width="425" /></center>LBマテリアル社の農機事業部・営業部1課課長、笹原高志（ささはら・たかし）のところに、代表電話経由でシンガポールの商社から連絡が入ったのは2010年2月15日（月）のことだった。大学受験以来ずっと英語に縁の無かった笹原だったが、とにかく先方の言いたいことは伝わった。<br />
<br />
「至急、6馬力（小型）の耕運機40台の見積もりが欲しい。」<br />
小型の耕運機は価格でこそ最低価格帯の農機だが、機体のほとんどのパーツが枯れた技術で出来ているため利益率が非常に高い。40台分ともなれば、それだけで営業部1課が国内で得る1年分の利益が出てしまうような、そういう案件であった。<br />
<br />
結果としては、この案件は、LBマテリアル社は過去、農機を輸出した経験が無いということで、あっさりと競合のA社に取られてしまった。A社は、LBマテリアル社とは国内でも常に競合する日本企業だったが、価格面でも性能面でもLBマテリアル社のほうが常に一歩も二歩も先を行っていたので、笹原としては正直、A社はノーマークだった。後でわかったことだが、A社は、成長の見込めるアジア諸国に目を付けた大手商社の出資を受けて商社の子会社となっており、商社の海外営業力を活用して、アジアの新興国における農機市場に食い込みつつあった。<br />
<br />
また、この案件で競合していた別のB社（台湾企業）はベテランの笹原も初めて耳にする企業だった。創業3年にも満たないB社の耕運機は、性能面では問題があるものの、価格はLBマテリアル社の耕運機の1/4だった。今、B社は日本での営業も考えているようで、笹原には商社の子会社となったA社よりも、このB社のほうが危険と映った。<br />
<br />
農機事業部の売却話<br />
<br />
2010年3月9日（火）、管理本部長である佐藤実（さとう・みのる）のところに大手投資銀行から連絡が入った。翌日、水曜の午後のミーティングの席では、その投資銀行からやってきた若いビジネスパーソンにより、LBマテリアル社の農機事業部を買収したいと考えている企業があることが伝えられた。<center><img src="https://pds.exblog.jp/pds/1/201004/03/05/c0071305_1962889.jpg" alt="_c0071305_1962889.jpg" class="IMAGE_MID" height="282" width="425" /></center>臨時取締役会が開かれたのは、そのさらに翌日の11日（木）だった。検査事業部出身の春川はこの提案に好意的だったが、農機事業部出身の取締役はもちろん、検査事業部出身の取締役も「創業の精神が深く根付いている農機事業部の売却はありえない」という点で、農機事業部の取締役に加担した。<br />
<br />
ここでLBマテリアル社は農機事業部の売却を行わないことを決議したが、この「事件」は、LBマテリアル社の全従業員に対して、農機事業部の将来の可能性を示すのに十分だった。もはや風前の灯と思われていた農機事業が、一転、社内で「花形」と認知されはじめたのである。<br />
<br />
LBマテリアル社の農機事業拡大・新戦略<br />
<br />
2010年3月19日（金）に、経営会議で新戦略が議決された。新戦略は、以下の5つの柱で構成されている。<br />
<br />
1.検査事業部・海外営業部の中から、アジア諸国の営業に通じた精鋭2名を選ぶ<br />
2.農機事業部に海外営業部1課と2課を新設し、精鋭2名を課長に就任させる<br />
3.アジア市場における農機の販売は、海外営業部1課と2課が専任担当する<br />
4.新設される2つの課に配属される人材（計4名）は、社内公募により決定される<br />
5.海外営業部の部長は一時空席とし、臨時で春川社長が事業の面倒を見る<br />
<br />
この議決内容には、社長の春川と管理本部長の佐藤による根回しが効いているらしい。春川と佐藤は同窓の同期ということもあり、政治的にも強くつながっている。<br />
<br />
人事部・人材開発課長の関根哲也（せきね・てつや）は、この決断を受けて、LBマテリアル社にとってはじめての社内公募を取り仕切ることになり、これまでにない忙しい日々を過ごしていた。今日も、今後の進め方に関して佐藤管理本部長と3時間にも及ぶ会議をこなしてきたところだった。関根は、公募してきそうな若手人材の顔を思い浮かべては、ワクワク感を抑えきれずにいた。<br />
<br />
そんな関根のデスクに、関根の同期である農機事業部・営業部1課、笹原課長から電話がかかってくる。<br />
「関根、聞いてくれよ。例のアジア向け耕運機の営業なんだけどさ、上は英語とか北京語とか、語学さえできれば売れるって思ってるだろ？検査事業部の連中は、農機なんてローテクだとか思ってるかもしれないけど、最近の農機営業ってのはさ、きちんと商品知識をつけて一人前になるまでに、最低でも5年ぐらいはかかるんだよ。嘘だと思うなら、一昨年うちの部署に配属になった高橋（東大の農学部出身で、その地頭の良さと誠実な態度からLBマテリアル社内では期待の新人と呼ばれている）を見てみろよ。相当がんばってるし、実力もついてきてるけど、まだ全然一人で農機を担げるようなレベルじゃないだろ？特に今回のアジアの場合みたいに、これまでにエンジン駆動の農機を使った経験がないお客様の場合ってのは、お客様が自分で自分に合った商品を選べないからさ、ソリューション営業ってことになって、農耕とか農作物そのものの知識まで求められるから難易度が高いんだ。新任の課長たちはもちろん、社内公募で応募してくる連中って、農業を本当に愛していて、農業に関する基礎的な知識とか持ってるのかな？農業の知識なんて、数ヶ月でなんとかなるって思ってるんじゃないの？」<br />
設問１：問題点を3つ挙げなさい。<br />
設問２：関根（人材育成担当）は今、何をするべきでしょうか？<br />
<br />
＊＊＊<br />
（注）組織学習システム研究会（通称Learning Bar）は、NPO法人 Educe Technologiesと東京大学大学院 学際情報学府 中原研究室が共催で３年前から実施している「組織学習・組織人材の最先端の話題をあつかう研究者と実務家のための研究会」です。この研究会への参加募集の告知は、中原先生のメルマガにて先行して行いますので、人材育成の研究や実務に関わる方で興味の有る方は、メルマガへの登録を検討してみてください。<br />
<br />
<br />
→ twitterもやってます：http://twitter.com/joesakai]]></content>
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  <entry>
    <title>ケースメソッドの学習（15）：ケースライティングの重要性について</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://nedwlt.exblog.jp/12610369/" />
    <id>http://nedwlt.exblog.jp/12610369/</id>
    <issued>2009-10-13T08:33:00+09:00</issued>
    <modified>2011-01-24T10:39:44+09:00</modified>
    <created>2009-10-13T08:33:09+09:00</created>
    <author><name>NED-WLT</name></author>
    <dc:subject>ケースメソッド</dc:subject>
    <content type="html"><![CDATA[どうして、こんな大切なことを見落としていたのだろう・・・。名古屋商科大学ビジネススクールMBAに通う松嶋さんが、卒論としてケースライティングに取り組んでいるのを読んだ事がきっかけで、しばらく「ケースライティングのスキルが持つ意味」について考えていました。そんなとき、先の教科書に出会い、やっと自分の意見がまとまりました。まず長いですが、以下の引用（孫引き）から始めます。<br />
<br />
ハーバード・ビジネススクールのレイモンド教授は、“ケースメソッドでは、学生にケースを開発する訓練を与えないのが普通である。この点がケースメソッドの1つの欠陥になっている。学生は、ビジネスのある状況を書かれているケースを手渡される。ケースにはその状況をめぐる事実や数字が含まれており、いくつかの問題に学生の注意が向けられるように書かれている。しかし、現実のビジネスを模したものとしては不完全である。ビジネススクールの教育を受けた卒業生が、実業界に入ったからと言って、ケースに書かれているような状況に直面することはほとんどない。それゆえ、自分でビジネスの現場を調査して、どのような状況におかれているか、そしてどのような問題があり、解決すべき問題はなにかをレポートにまとめなければならないことになる。プロジェクト・レポートは、ケースメソッドのこのような欠陥をある程度是正することに役立つものである。プロジェクト・レポートを作成するためには、学生はまずケースとして取り上げる状況を発見し、その実情を把握し、それをケースとしてまとめあげ、ついでそれをどう分析したかを示し、それに基づいて、どのような対策を講じたらよいかを提示しなければならない”と述べている。<br />
（『ケースメソッドによる学習』p114より引用）<br />
<br />
当たり前のような記述ですが、この中には大切な視点が隠れています。それは「ケースメソッド教育は、ケース教材をベースにした討論の数をこなすだけでなく、ケースライティングのスキルが身に付いてはじめて完結する」ということです。<br />
<br />
ビジネススクールでは、学生はそれこそ数百件のケース教材をこなします。ですから学生は「ケース教材さえあれば」広く問題を洗い出し、それを分析し、仲間と討論をしつつ、解決策を練ることができるようになります。<br />
<br />
しかし卒業してビジネスの現場に出ると、そこには客観的な事実として紙に書かれたケース教材はありません。卒業生は、現実のビジネスとケース教材への取り組みの間にある深い溝にガッカリするものです。<br />
<br />
しかし、ここにケースライティングのスキルがあれば、自分で自分の置かれているビジネス環境をケース教材として書き出してしまうことが可能なのです。なんて当たり前のこと！これに気がつければ、ケースメソッド教育の価値は数段高まるのではないでしょうか。つまりケースメソッド教育とは、<br />
<br />
（１）多数のケース教材を通して問題解決へのアプローチの仕方を学び<br />
（２）自分の置かれているビジネスの状況を1つのケース教材として書き出してしまう力を養い<br />
（３）自分の同僚にケース教材をベースにした討論の基礎を浸透させ、職場をビジネススクールにしてしまう<br />
という３段階で完結するのではないでしょうか。その意味では（２）ケースライティングの機会や（３）他者にケースメソッドを教える機会などをほとんど提供しない現代のビジネススクールのカリキュラムにはデザイン・エラーがあると考えられます。特に（２）ケースライティングのスキル習得は、ケース教材を用いた討論学習と同等か、それ以上の時間と労力が必要だと思います。うーん、面白い。<br />
<br />
（これから出社します）<br />
すぐそこにあるケース<br />
<center><img src="https://pds.exblog.jp/pds/1/200910/13/05/c0071305_8323899.jpg" alt="_c0071305_8323899.jpg" class="IMAGE_MID" height="327" width="500" /></center><br />
<br />
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  </entry>
  <entry>
    <title>ケースメソッドの学習（14）：やっと見つけた教科書</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://nedwlt.exblog.jp/12606835/" />
    <id>http://nedwlt.exblog.jp/12606835/</id>
    <issued>2009-10-12T22:34:00+09:00</issued>
    <modified>2011-01-24T10:39:44+09:00</modified>
    <created>2009-10-12T22:34:58+09:00</created>
    <author><name>NED-WLT</name></author>
    <dc:subject>ケースメソッド</dc:subject>
    <content type="html"><![CDATA[やっと、自分の学習ニーズにぴったり合ったケースメソッドの教科書に出会いました。今年の夏に出版された『ケースメソッドによる学習』（百海正一著）がそれで、2ページ程度の序文に18本もの参考文献が挙げられているような、ケースメソッドへの愛と情熱にあふれた良書です。全部で154ページしかないのですが、内容は濃いです。<br />
<br />
内容の濃さはもちろん、ケースメソッドの初学者にとっては数ある参考文献へのゲートウェイとしての利用価値がとても高い本だと思います。また、これからMBA課程に入る人にとっては「マスト・ハブ・アイテム」で、この本を読んでいるか否かで後の成績がきっと変わると思います。<br />
<br />
百海氏ご自身は、世界的に有名なスイスのビジネス・スクールIMD（旧IMEDE）においてMBAを取得されていて、その時の厳しいケースメソッド授業の光景を本書のあとがきで次のように述べています。<br />
<br />
毎週、木曜日になると、次週分の宿題がどっさりわたされる。学生たちは、配られた教材（通常1ケースにつき最低2つの参考文献）とテキストを読み、自分なりにまとめ、さらに自身の見解を加えるという作業をやらなければならない。その分量は、1日分平均70〜80ページであり、ときには100ページを越すことも少なくなかった。<br />
当時のIMDでは、このペースで1年で約700ものケースをこなしたそうです（ちなみに当時のHBSは２年間で約900本だったとか）。僕の通ったオランダのTiasNimbasビジネス・スクールは、理論の習得を目的とした講義とケースメソッドを同時に進行させるプログラムを提供していたため、学んだケースは2年間でもせいぜい250本程度の量ではなかったかと思います。<br />
<br />
1年で700本というケースメソッド漬けの生活は、ケースメソッド教授法自体への理解という意味ではうらやましい限りですが、それにしてもちょっと量が多すぎるような・・・（笑）。<br />
<br />
著者である百海氏は、日本におけるケースメソッドの普及をライフワークとされている方で、現代の日本に、NACRA（North American Case Research Association）やWACRA（World Association for Case Method Research）のようなケースメソッドの研究会が存在しないことにも警鐘を鳴らしています。確かに、大学の教員ではない人間が、日本でまともにケースメソッド教授法を学ぼうとしたときは慶應しか選択肢がないという現状は残念です。<br />
<br />
実は本書は、2002年に発表された『ケース・メソッド教育』（商経論叢, 38(1): p71〜111）という論文がベースになっていて、それぞれ本でしか読めない部分（例えばp132資料4の質問例）と、この論文でしか読めない部分（例えば資料3サンプルケース）があるので、本だけでなく論文と合わせて読むとさらに効果的だと思います。<br />
<br />
（オススメです）<br />
天井<br />
<center><img src="https://pds.exblog.jp/pds/1/200910/12/05/c0071305_22263374.jpg" alt="_c0071305_22263374.jpg" class="IMAGE_MID" height="334" width="500" /></center><br />
<br />
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  </entry>
  <entry>
    <title>ケースメソッドの学習（13）：すぐに使えるケース教材</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://nedwlt.exblog.jp/12549969/" />
    <id>http://nedwlt.exblog.jp/12549969/</id>
    <issued>2009-10-07T07:53:00+09:00</issued>
    <modified>2011-01-24T10:39:44+09:00</modified>
    <created>2009-10-07T07:53:52+09:00</created>
    <author><name>NED-WLT</name></author>
    <dc:subject>ケースメソッド</dc:subject>
    <content type="html"><![CDATA[苗村屋さまからコメントを頂戴して気がつきましたが、ケースメソッドに利用されるケース教材には難しい内容のものが多いですね。とにかくケース教材を使ってみて、どれぐらいの教育効果があるのかを「実感」してみたいとき、いきなりハーバードや慶應のケース教材に手を出すのはうまくありません。<br />
<br />
そこで検討していただきたいのが『企業内研修にすぐ使えるケーススタディ』です。職場活性化、時間管理、会議運営、部下管理、パート管理、情報管理、LAN導入、間接部門生産性、部門管理、CS向上活動、営業活動、体質改善、生産計画、コスト管理、製品開発、経営改革、経営再建の17個のケース教材とディスカッション・リーダー用の「あんちょこ（解題）」、およびケースメソッドの運用の仕方が付いていて1,800円とお得な本です。<br />
<br />
もともとは、人事の業界紙として有名な『人材教育』（日本能率協会マネジメントセンター）に連載されていた「実践・そのまま使えるケーススタディー」がベースになっている本であり、ケースメソッドを実施したことのない人向けに書かれているので、難易度も意図的に低く設定されています。<br />
<br />
個人的には、個々のケースの「あんちょこ（解題）」として提供されている情報の内容に一部賛成できないところもありますが、それでもまあ、選択されている17のテーマはどこの企業でも気になる普遍的なものだし、1,800円分の価値は十分にあると思います。<br />
<br />
（もし興味があれば）<br />
焼きおにぎり<br />
<center><img src="https://pds.exblog.jp/pds/1/200910/07/05/c0071305_753556.jpg" alt="_c0071305_753556.jpg" class="IMAGE_MID" height="330" width="500" /></center><br />
<br />
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  </entry>
  <entry>
    <title>ケースメソッドの学習（12）：ケースライティングに関する日本語のテキスト</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://nedwlt.exblog.jp/12539611/" />
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    <issued>2009-10-06T06:07:00+09:00</issued>
    <modified>2011-01-24T10:39:44+09:00</modified>
    <created>2009-10-06T06:07:43+09:00</created>
    <author><name>NED-WLT</name></author>
    <dc:subject>ケースメソッド</dc:subject>
    <content type="html"><![CDATA[企業においてケースメソッドを進めるとき、既存のケース教材を用いるのではなくて、自社における実際の事例を用いたいという気持ちになるのは当然の流れだと思います。そうしたとき、ケース教材を作成するスキル（ケースライティングのスキル）が必要になりますが、いきなり良い本を探そうと思ってもなかなか難しいです。<br />
<br />
良質なケース教材集である『ケース・メソッド入門』（p40〜51）にも参考にすべき記述がありますが、まずは『日本版ケースライティングガイドブック』（pdf）に当たることをオススメします。このテキストは、日本におけるケースメソッドの第一人者である高木晴夫先生が監修をしている全107ページにも及ぶケースライティングの解説で、な、なんと無料です。<br />
<br />
標準的なケース教材の構成などはもちろん、出来上がったケース教材を評価するためのチェックシートが付いていたりと、非常に使い勝手のよい作りになっています。こういうのが落ちているから、ネットはやめられないです（笑）。<br />
<br />
（周囲が明るくなってきました）<br />
サザエ<br />
<center><img src="https://pds.exblog.jp/pds/1/200910/06/05/c0071305_5594954.jpg" alt="_c0071305_5594954.jpg" class="IMAGE_MID" height="528" width="350" /></center><br />
<br />
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  </entry>
  <entry>
    <title>ケースメソッドの学習（11）：結局、HBSなのか？</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://nedwlt.exblog.jp/12527676/" />
    <id>http://nedwlt.exblog.jp/12527676/</id>
    <issued>2009-10-04T23:04:00+09:00</issued>
    <modified>2011-01-24T10:39:44+09:00</modified>
    <created>2009-10-04T23:04:17+09:00</created>
    <author><name>NED-WLT</name></author>
    <dc:subject>ケースメソッド</dc:subject>
    <content type="html"><![CDATA[やっぱり、色々と文献を読んでいると、ケースメソッドに関してはHBSなんだなぁと思います。イメージの問題ですが、論文のReferenceをたどって行くと、最終的にはHBSに行き着く感じです（その他の参考英語文献はこちら）。<br />
<br />
●『Characteristics of Effective Case Teaching』<br />
C. Roland Christensen Center for Teaching and Learning, HBS<br />
たった１枚の紙に、ケースメソッドにおいて教師が知っておくべきポイントがギュッと凝縮されています。もちろん、これだけでは不十分ではあるものの、HBSの頭脳が「ケースメソッドとは、こうだ！」とエッセンスを１枚にまとめると、迫力がありますね。後に、何度も振り返りたい１枚です。<br />
<br />
●E. Raymond Corey『Case Method Teaching』<br />
Harvard Business School 9-581-058<br />
ちょっと古いのですが、HBSが直球で教えてくれる「ケースメソッドとは？」です。生徒の評価の仕方まで含めて、その舞台裏が（短いですが）明らかにされます。特に大切だと思われたところを、以下に引用します。自分自身を振り返っても、ここがかなり刺さりました。クラス討議が終了した直後の時間（数分と言っているが、現実には30分ぐらいか？）が、生徒の満足度を決める感じです。<br />
<br />
After class.   As there are benefits in arriving in class early, much may be accomplished by staying for a few minutes after class. Some students will want to ask questions that were not answered to their satisfaction during the class.  But many will want to have opportunities that may not have been afforded to them during class to express their ideas—and to have the teacher respond. Others will want to seek special help or ask the instructor’s counsel on problems in which they may be involved. The instructor’s willingness simply to take time for these purposes will be highly appreciated. <br />
（寝る前に、もう少し文献を検索してみます）<br />
今日食べたブドウ<br />
<center><img src="https://pds.exblog.jp/pds/1/200910/04/05/c0071305_2332571.jpg" alt="_c0071305_2332571.jpg" class="IMAGE_MID" height="332" width="500" /></center><br />
<br />
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  </entry>
  <entry>
    <title>ケースメソッドの学習（10）：参考英語文献リスト（as of October 4, 2009）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://nedwlt.exblog.jp/12521336/" />
    <id>http://nedwlt.exblog.jp/12521336/</id>
    <issued>2009-10-04T10:29:00+09:00</issued>
    <modified>2011-01-24T10:39:44+09:00</modified>
    <created>2009-10-04T10:29:01+09:00</created>
    <author><name>NED-WLT</name></author>
    <dc:subject>ケースメソッド</dc:subject>
    <content type="html"><![CDATA[先にアップした日本語の文献リストに引き続き、今回は英語で書かれた文献で、これまでに読んで良かったと思うものをリストにまとめます。例によって、僕はプロの研究者ではないし、スキャニングしている論文の数もまだ少ないので、リストの品質は相当低いものとご理解ください。<br />
<br />
●Jesse Purewal, 『Making the Case Method Work for You』<br />
Haas Business School, July 31, 2006<br />
カリフォルニア大学バークレー校ハース・スクール・オブ・ビジネスが学生向けに提供している、「ケース教材からの学びを最大化するためのアドバイス」という位置づけの文献です。英文とはいえ、わずか５枚にライフハック形式でまとめているので、ケースメソッドを導入する前に学生にそのまま配っても十分に使えると思います。解り易さが抜群なので、オススメ。<br />
<br />
●James Theroux, 『The Real-Time Case Method: A New Approach To An Old Tradition』<br />
Isenberg School of Management<br />
論文が書かれている時点で、４つのスクールでテスト運用されたという「新しいケースメソッド」を紹介する論文です。100年以上も前にハーバードで開発されたTraditional Methodが、現在でも変わらず運用されていることへの問題意識は当然あるので、非常に興味深いです。この新しいケースメソッドの特徴は（１）１冊の本ほどもある１つのケース教材を6ヶ月以上に渡って追いかけ（２）人間にフォーカスするためケースの登場人物についてはウェブ・ビデオでも学び（３）ケース教材の題材となっている企業と実際にビデオ会議、チャットや電話会議でコンタクトできる、というものです。これは、学生の視点からは超うらやましいです。<br />
<br />
●Adam Mendelson, 『Implementing Harvard Business School’s Case Method In Distributed Environments』<br />
IESE Business School - University of Navarra<br />
バルセロナのビジネススクール IESE（イエセ）が提供する、地球規模で分散している地域から生徒がオンラインで参加するケースメソッドの運用に関する調査です。Face to Faceではなく、オンラインでケースメソッドを運用することには、当然デメリットもありますが（１）完全に国境を超える生徒のダイバーシティ（２）より精緻な参加者のレベル調整（３）十分な時間が取れることによるより深い討議の実現（４）デジタル教材やハイパーリンクなどをフル活用した授業や討議、といったメリットも多くあります。かなり可能性を感じる学習方法なので、個人的にはさらにつっこんで勉強してみるつもりです。<br />
<br />
●Graeme Currie, 『The Development Of “Impoverished Souls”: A Critical Appraisal Of The Case Method Within UK MBA Programs』<br />
Critical Management Studies Conference, University of Cambridge 2005<br />
現在のケースメソッドを正面から批判した論文です。さすがイギリス、ケンブリッジでのコンファレンスです。批判精神なくして発展もないという態度は、見習いたいです。こういう論文は日本ではなかなか見ませんね。批判の内容はどれも納得の行くもので非常に考えさせられます。さらにこの論文は、過去になされたケースメソッドの負の面に関する調査報告へのReferenceも充実しています。<br />
<br />
（これから職場の仲間たちとバーベキューです！）]]></content>
  </entry>
  <entry>
    <title>ケースメソッドの学習（９）：ディスカッション・リーダーの権威について</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://nedwlt.exblog.jp/12518327/" />
    <id>http://nedwlt.exblog.jp/12518327/</id>
    <issued>2009-10-03T23:38:00+09:00</issued>
    <modified>2011-01-24T10:39:44+09:00</modified>
    <created>2009-10-03T23:38:17+09:00</created>
    <author><name>NED-WLT</name></author>
    <dc:subject>ケースメソッド</dc:subject>
    <content type="html"><![CDATA[今回は、日本におけるケースメソッドの第一人者である高木晴夫先生の授業の様子を調査・研究した論文『ケース・メソッド授業における教師・学生間の相互作用に関する一考察』（佐野亨子、京都大学高等教育研究第11号（2005））をベースにして、ディスカッション・リーダーの権威の重要性について考えてみます。まず、この論文の「まとめ」にある文章よりはじめます。<br />
<br />
教師が学生の発言をまじめに受け止め、苦労して議論の中に組み込んでくれたとわかれば、発言者は自らの存在意義を感じるようになるとの指摘をしている。データ１に見られたように、学生の発言をそのまま教師が再述する（繰り返す）ことで、学生は自らの発言がそのまま受容されたことを感じ、討論の場に主体的に参加しようとの意識を持つのではないかと予想される。（p10, line 23）<br />
さらにこの論文の著者は注記で、こうした教師による学生の発言の受け止めは、カウンセリングにおけるカール・ロジャーズ（Carl Rogers）の理論に通ずるところがあるというアイディアを述べていますが、これは慧眼です。<br />
<br />
カール・ロジャーズのカウンセリング理論は、Client Centered Therapy（クライアントを中心としたセラピー）にあるとされますが、これはケースメソッドがParticipant Centered Learning（参加者を中心とした学び）であることに、まず間違いなく通底しています。<br />
<br />
クライアントを中心としたセラピーの根幹が「クライアントを無条件に受容することで、クライアントの自尊心を高める」ことにあるとすれば、ケースメソッドの狙いの中には、「学生の自尊心を高める（モチベーションを高める）」というセラピー的な面が無視できないレベルで内包されていると言えるでしょう。<br />
<br />
このとき、自分の発言を認めてくれる教師の「権威」が十分に高い場合と、そうでない場合とでは、自尊心の高まり具合に相当な差がでることが容易に予想されます。<br />
<br />
いかに発話のテクニックや理論的な背景を勉強したところで、自分に十分な権威が備わっていない人によるディスカッション・リーダーシップには「生徒の自尊心をくすぐれない」という欠陥が生まれるでしょう。逆に、既にそれなりの権威を得ている人がケースメソッドを学べば、自らの権威にレバレッジを効かせて生徒の自尊心やモチベーションを高めることに成功するはずなのです。<br />
<br />
この意味において、ケースメソッド教授法を学ぶべき人というのは、既にある程度の権威を得ている人（認めてもらえると嬉しい人）だという結論が導けそうです。<br />
<br />
企業においてケースメソッドを内製する場合、ディスカッション・リーダーの選定においては、社内の権威にセンシティブであるべきでしょう。例えばオペーレションに関するケース教材を用いるなら、その時のディスカッション・リーダーは、社内ではオペレーション分野で最も尊敬されている人物（できれば、社外にもその分野では名前が知られているような人材）であるべきです。<br />
<br />
要するにケースメソッドの運用においては、ケース教材の訓練テーマについて最も良く理解している「エキスパート」がディスカッション・リーダーになる必要があるということです。このためには、人材育成を担当する部門は、ケース教材毎に最適なディスカッション・リーダーを把握し、そうした人材のケースメソッド教授法のスキルを高めて行くことが急務であることが解ります。<br />
<br />
（やっと実務とのコネクションが見えてきました）]]></content>
  </entry>
  <entry>
    <title>ケースメソッドの学習（８）：参考文献リスト（as of October 3, 2009）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://nedwlt.exblog.jp/12517498/" />
    <id>http://nedwlt.exblog.jp/12517498/</id>
    <issued>2009-10-03T22:27:00+09:00</issued>
    <modified>2011-01-24T10:39:44+09:00</modified>
    <created>2009-10-03T22:27:32+09:00</created>
    <author><name>NED-WLT</name></author>
    <dc:subject>ケースメソッド</dc:subject>
    <content type="html"><![CDATA[これまでにネットで入手したケースメソッドに関する日本の文献で、個人的に勉強になったものを以下にリストアップしておきます。僕はプロの研究者ではないし、このリスト作成のためにスキャニングされている文献数はせいぜい50本程度なので、リストとしての品質は相当低いことはご了承ください。あくまでも、僕が自分のためにまとめているものです。<br />
<br />
●竹村正明『ケースメソッド : 思考プロセスの事前経験』<br />
The Hikone ronso 334 pp.199-220<br />
ケースメソッドの全体像を具体的に把握するために利用できます。意思決定志向のケース教材を用いた実際の教授例を、講師（ファシリテータ）の視点から追いかけています。既にケースメソッドのファシリテータとしてクラス討議を運用したことのある人にとっても、良い力点の整理になると思います。<br />
<br />
●鈴江一恵『大学におけるパーソナル・ファイナンス教育に関する一考察 : ケースメソッドの有効性の検討』<br />
Research bulletin of Takamatsu University   (50)    pp.31-67<br />
ケースメソッドの有用性を定量的に考察したものです。「ケースメソッドに意味なんてあるの？」という直球の質問に対しては、この論文を渡すことが一つの固い解答になると思います。この論文の理論的ベースになっている『実践！日本型ケースメソッド教育』も読んでおくと理解が早いです。<br />
<br />
●佐野亨子『ケース・メソッド授業における教師・学生間の相互作用に関する一考察』<br />
京都大学高等教育研究第11号（2005）<br />
ケースメソッドを運用する教師（ファシリテータ）の発話はどのようなものであり、どのようであるべきかを考えるために利用できる論文です。何よりも、日本におけるケースメソッドの第一人者である高木先生の授業中の発話が調査・研究の対象となっているので、学べるところが多いです。実際にディスカッション・リーダー（ファシリテータ）を引き受ける場合は、事前にこの論文が示すところを頭に入れておくと良いと思われます。<br />
<br />
●中邨良樹『経営戦略学習のための戦略的ビジネスゲームの開発』<br />
産業経営研究　第30号（2008）<br />
現時点でのケースメソッドの弱点を補う可能性のある「ビジネス・ゲーム」について、その全体像を把握するために利用できます。特にビジネス・ゲームが持っている「意思決定の同時性」は、普通のケースメソッドでは提供できないダイナミズムです。ちなみに僕自身もビジネス・スクールでビジネス・ゲームを経験したことがあり、その有効性を実感しています。僕としては、ビジネス・ゲームとケースメソッドは対立するものとは考えていません。今のケースメソッドはクラス討議を前提とした紙に書かれたケース教材を用いたものですが、それがケースメソッドの最終形態ではなく、いずれはビジネス・ゲーム的な要素を統合しつつ、さらに発展していくものと考えています。<br />
<br />
●清宮政宏『ケース・メソッド方式での企業経営教育におけるミニ・ケース使用の効果と限界,そして今後への課題について』<br />
彦根論叢 (第370号) pp.123-141<br />
普通のケースメソッドの運用には時間がかかります。だいたい１件の目安として、予習に120分、グループ討議に90分、クラス討議に90分ぐらいは必要になるのがケースメソッドです。この弱点を回避する代替案として、A4の紙１枚程度の「ミニ・ケース」が提案されています。ミニ・ケースの運用では、最も時間のかかる事前の予習部分が必要なくなるので、忙しいビジネスパーソン向けの研修としての可能性が注目されています。この論文は、そんなミニ・ケースのメリットとデメリットに触れているものです。]]></content>
  </entry>
  <entry>
    <title>ケースメソッドの学習（７）：「ごっこ遊び」としてのケース討議 </title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://nedwlt.exblog.jp/12512635/" />
    <id>http://nedwlt.exblog.jp/12512635/</id>
    <issued>2009-10-03T11:23:00+09:00</issued>
    <modified>2011-01-24T10:39:44+09:00</modified>
    <created>2009-10-03T11:23:43+09:00</created>
    <author><name>NED-WLT</name></author>
    <dc:subject>ケースメソッド</dc:subject>
    <content type="html"><![CDATA[今、僕がケースメソッド教授法を習っているのは『実践！日本型ケースメソッド教育』の著者の先生方です。本書は、日本の研究者たちによって執筆されたケースメソッド教授法に関する数少ない教科書の１冊であり、僕がケースメソッド教授法への興味を持つことになったきっかけでした。<br />
<br />
この本では、ケースメソッドへの典型的な批判の１つとして、ケースメソッドは「経営ごっこ」であるというものが取り上げられています（p44）。このケースメソッドを揶揄するときに使われる「経営ごっこ」という表現は、実は、教育者サイドからすれば、うれしい褒め言葉です。今回は「ごっこ遊び」の視座からケースメソッドを考えます。<br />
<br />
まず「ごっこ遊び」というのは、人間の幼児期における代表的な遊びであり、これに関しては少なからず好意的な研究事例が存在します。例えば、先行研究『幼児の遊びにおける意味生成とモノ，空間の関係機序』（Human Developmental Research 2009.Vol.23，259-262）の導入では、その意義が次のようにまとめられています。<br />
<br />
ごっこ遊びは，幼児期の遊びの中でも特に注目すべきもののひとつである。Vygotsky（1933）や Leonte’v（1944）は，ごっこ遊びに見られる，虚構場面の創造という側面に注目し，あるモノを現実の意味ではなく，遊び上の意味で扱うという，遊びに特有の活動の状態を指摘した。そのような視点から，遊びという活動は目の前の具体的な状況から抜け出した抽象的な思考形態を獲得する過程の重要な契機であるということを彼らは説いている。 <br />
抽象的な思考形態の獲得が重要なのは、それが「体験を経験化するスキル」に直結しているからです。先行研究『形態化（Gestaltung）と美的教育』（九州大学大学院教育学研究紀要，1999，第2号（通巻第45集），133－141）から引用すると、<br />
<br />
体験は，強い感覚的印象が我々のうちに入り込んでくることで成り立つが，それは瞬間的で不明瞭なものであり，時間の経過の中でそれ自体を持続的に保持していくことは困難である。彼によれば，我々は体験を反省的にその背景や諸連関と結びつけるという作業を行い，体験を経験化することによって，すなわち対象との出会いを含めた何らかの現象の過程を形態化することによって，その現象の中に含まれている概念を導き，そこに意味を見出すことができるのである。<br />
つまり、経営ごっことしてのケースメソッドは、瞬間的で不明瞭な日々のビジネス体験を、より一般的な経験として積み上げるときの「収率（yield）」を高めることに寄与する可能性が（無視できないレベルで）高いのです。<br />
<br />
これは以前、僕がエントリ「経験の受け皿」でも考えた、「スキーマのメッシュの細かさ」に関係しています。今年の２月にアップしたこのエントリの最後で、僕は次のように述べています。<br />
<br />
経験の受け皿としてのスキーマを育成することは可能なのでしょうか。もしかしたら、物語形式の文章（ノンフィクションや小説、ケーススタディーなど）を読むことが、スキーマの育成と重要な関係があるのではないか・・・というところまでが、今の僕の考えです。神話や昔話が娯楽のためだけに存在したのではなさそうだという視点や、子供にとって絵本を読むことが重要だという視点も、スキーマの育成という切り口でまとめることができそうな気がするのです。<br />
過去の直感に、理論の枠がカチッと音を立ててはまるような、そんな思いがしています。<br />
<br />
（ごっこ遊びをしましょう）<br />
昨晩見たアイスクリーム<br />
<center><img src="https://pds.exblog.jp/pds/1/200910/03/05/c0071305_1142677.jpg" alt="_c0071305_1142677.jpg" class="IMAGE_MID" height="346" width="500" /></center><br />
<br />
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  </entry>
  <entry>
    <title>ケースメソッドの学習（６）：意見をまとめるのか、まとめないのか</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://nedwlt.exblog.jp/12493486/" />
    <id>http://nedwlt.exblog.jp/12493486/</id>
    <issued>2009-10-01T08:22:00+09:00</issued>
    <modified>2011-01-24T10:39:44+09:00</modified>
    <created>2009-10-01T08:22:12+09:00</created>
    <author><name>NED-WLT</name></author>
    <dc:subject>ケースメソッド</dc:subject>
    <content type="html"><![CDATA[ケースメソッドでは（１）ケース教材をまず個人で考えて（２）小さなグループ内でその考えをシェアして（３）大きなクラス全体で議論する、という３段階で議論を発展させて行きます。前回のクラスで軽い議論になったのが（２）の小さなグループ内における意見交換のステップで、個々の異なる意見を１つのグループの意見としてまとめるか否かでした。<br />
<br />
今回お世話になっているビジネス・スクールのケースメソッドでは、伝統的にグループ毎に意見をまとめて発表することは少ないとのことでした。これに対して、僕がオランダで通ったスクールのケースメソッドでは、ほぼ毎回グループ毎の意見をまとめていました。<br />
<br />
グループ毎に意見を「まとめる」ことのメリットは、それが現実のビジネスシーンにおける議論に近い状態を作り出すことです。これは、様々な文化や価値観があることを尊重しつつも、グループとしての意見は1本にまとめていかないとならない現実を反映していると言えます。<br />
<br />
しかし限られた時間内にグループで意見をまとめるということは、自分の意見を通したい個々の生徒間における「バトル」が不可避なものとなります。結果として、他の生徒の意見を「傾聴する」スキルを育成するチャンスが少なくなる傾向があります。僕自身、あまり人の話を聞かずに泡を吹きながらしゃべった記憶があります（笑）。<br />
<br />
これに対して、グループ毎に意見を「まとめない」ことのメリットは、皆がお互いの意見を傾聴しつつ、自分の意見を深めていけることにあります。そもそもMBAの学生には自己主張の強い人が多く、ここで傾聴のスキルが鍛えられるメリットは無視できません。<br />
<br />
同時に、皆が自分の意見を言い合うだけの状態を、果たして議論（または討議）と呼んでよいのかには疑問があります。特に、チームビルディングという文脈においては「バトル」のチャンスが少ないという部分が無視できないデメリットです。<br />
<br />
チームビルディングにおいては、心理学者のブルース・タックマン（Bruce W. Tuckman）が提唱したモデル（タックマン・モデル）がよく参照されます。タックマン・モデルとは、チームの形成から解散までを以下の5段階で表現したものです。<br />
<br />
１．チームの形成期（Forming）<br />
メンバーが集まり、チームの存在意義や目的などを模索している段階<br />
<br />
２．混乱期（Storming）<br />
チーム内の政治的な立ち位置などを巡り意見の対立が発生する段階<br />
<br />
３．統一期（Norming）<br />
メンバーがお互いの意見を受容し、役割分担や責任が明確となる段階<br />
<br />
４．機能期（Performing）<br />
組織に一体感が形成され、組織の力が発揮される段階<br />
<br />
５．解散期（Adjourning）<br />
目的の達成やその他の制約条件によって、チームが解散する段階<br />
当然ですが、チームはそれが形成されただけで機能するわけではありません。一番大切なポイントは、チームが形成されてから、それがきちんと機能するようになるまでの間には、メンバーの心理的な対立（混乱期）、すなわちバトルが不可避だということです。<br />
<br />
なんとなくメンバーがお互いに意見の対立を避けて、自由に自分の言いたいことを言っているだけでは、グループはいつまでもただの集団に過ぎず「チーム」にはなれないのです。この意味で、グループ毎に意見を「まとめない」という選択は、日本的ではあるものの、欠陥もあります。<br />
<br />
グループとしての意見をまとめるのか、まとめないのか。どちらにせよ、メリットとデメリットがあることは当然としても、これらの選択は、好みの問題では片付けられないところがあります。<br />
<br />
まずは、ケースメソッドを用いての学習が、どれぐらいの期間に及ぶのかが重要な判断材料になります。ケースメソッドのために作られるグループが短期的・一時的なものであれば、わざわざバトルで嫌な思いをしてまで、そのグループをチームにまで進化させる理由がわかりません。<br />
<br />
また、これはスクールとして「傾聴のスキル」と「チームビルディングのスキル」のどちらの育成を優先させたいのかという立場の問題にもなってくるかもしれません。学生として集めた集団を知的に高めることだけに集中したいのか、それともただの集団を一生付き合えるようなチームに育て上げたいのかというあたりも悩ましいポイントとなりそうです。<br />
<br />
（おしまい）<br />
昨晩の記憶<br />
<center><img src="https://pds.exblog.jp/pds/1/200910/01/05/c0071305_815416.jpg" alt="_c0071305_815416.jpg" class="IMAGE_MID" height="337" width="500" /></center><br />
<br />
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  </entry>
  <entry>
    <title>ケースメソッドの学習（５）：上から目線を避ける</title>
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    <issued>2009-10-01T00:33:00+09:00</issued>
    <modified>2011-01-24T10:39:44+09:00</modified>
    <created>2009-10-01T00:33:51+09:00</created>
    <author><name>NED-WLT</name></author>
    <dc:subject>ケースメソッド</dc:subject>
    <content type="html"><![CDATA[前神戸大学教授で流通科学大学学長の石井淳蔵氏による著書『ビジネス・インサイト』の記述をベースにして、ケースメソッドにおける「最大のピットフォール」を考えます。<br />
<br />
まず、本書『ビジネス・インサイト』の根幹となる主張は、「イノベーティブなビジネス・モデルを生み出す力（ビジネス・インサイト）は、哲学者ポランニーが言う「対象に棲み込む」という行為を通して高めることができる」というものです。この「対象に棲み込む」とは、<br />
<br />
ポランニーがいう「対象に棲み込む」とは、結局、ある対象があったとして、あらかじめ何か既存の視点でもって理解しようとするのではなく、その対象との距離を縮め、そのあらゆる可能性を既存の視点に影響されることなく把握してしまおうというプロセスである。<br />
（p119）<br />
<br />
ということです。さらに、この力を養うためには、ケースメソッドが最適なトレーニング方法ではないかというのが石井氏の主張であり、ここが、僕が本書に特に強く共感するところです。石井氏はさらに、このトレーニング（ケースメソッド）をできる限り有効なものとするために注意しなければならないのが「上から目線を避ける」であると言います。ちょっと長くなりますが、さらに引用します。<br />
<br />
討議するに当たっては、「その当時のその会社の当事者、たとえば経営者あるいは彼らに助言を与えるコンサルタントになったつもりで、どうしたらよいのか考えよう」というケース討議のルールを徹底させることが重要だ。そして、「もし、あなたがこの当時、この会社のトップなら、どういう判断をしますか？」、「その経営者と同じ、1950年代の世界に身を置いたとして、この経営者と違った判断ができますか？」と質問する。これがケース討議を通して一番大事な質問だ。言うまでもなく、前章のポランニーの知の暗黙の次元で詳しく述べた、人（当事者）に共感するあるいは棲み込むプロセスだ。その姿勢をまず学生に要求する。ケース討議に先立ってあらかじめ、「上から目線」の意見が出ないようにしておかないといけないが、ケースに書いてある企業の歴史や業界の競争の経緯を入念にたどるのは、言わず語らずのうちにこの「上から目線」を避ける一つの工夫である。<br />
（p134～135）<br />
<br />
ケース教材の記述には、普通「まるでばかげた判断」が含まれていて、学生たちは鬼の首を取ったかのように（上から目線全開で）そうした「ばかげた判断」を攻撃しがちです。しかし、こうした「簡単化された議論」にグループのフォーカスが集まってしまうと、「ケース教材をしゃぶりつくす」レベルには至れず、グループの学びも極端に少なくなってしまいます。<br />
<br />
たいがいケース教材に描かれている当事者は輝かしい経歴を持っていて、実際に会ってみれば、多くの学生よりも優秀なビジネスパーソンだったりします。学生がこの点について十分に謙虚になれば、自分よりも優秀な当事者が「ばかげた判断」をせざるを得なかった「背景」に興味が向かうはずです。<br />
<br />
当然、ケース教材には、この背景を探るのに十分なヒントが含まれていなければなりません。さらに優れたケース教材の場合は、このヒントが上手に隠されていたりします。そうしたケース教材を読み込むときは、さながら、探偵モノの小説を読み解くような楽しさが味わえます。<br />
<br />
深くケースの背景に通じると、ケースの当事者が下した判断の「合理性」が理解できるようになります。そして学生は、当事者としては合理的な判断が、客観的には「ばかげている」という矛盾に恐怖するのであり、そこに修羅場の追体験が起こるのでしょう。<br />
<br />
この修羅場の追体験のクオリティーを評価することが、ケースメソッドの教育効果測定にとって最も重要なものではないかと思うのです。<br />
<br />
（おしまい）<br />
今晩の下から目線<br />
<center><img src="https://pds.exblog.jp/pds/1/200910/01/05/c0071305_0353313.jpg" alt="_c0071305_0353313.jpg" class="IMAGE_MID" height="339" width="500" /></center><br />
<br />
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  </entry>
  <entry>
    <title>ケースメソッドの学習（４）：ケース教材のノイズ</title>
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    <issued>2009-09-28T23:43:00+09:00</issued>
    <modified>2011-01-24T10:39:44+09:00</modified>
    <created>2009-09-28T23:43:38+09:00</created>
    <author><name>NED-WLT</name></author>
    <dc:subject>ケースメソッド</dc:subject>
    <content type="html"><![CDATA[前回のエントリを読んでいただいたある方から、「ケースメソッドに用いられるケース教材にノイズが含まれる必要があるのは何故？」という質問を頂戴しました。今回は、この点について考えてみます。<br />
<br />
教科書でも学べる経営学上の理論を「空手の型」とすれば、ケース教材を用いた学習（ケースメソッド）は、いわば「練習試合」に相当します。そしてリアルなビジネスは、さながら「ストリート・ファイト」といったところです。<br />
<br />
いくらたくさんの型を覚えたからと言って、それをいきなりストリートファイトで使うのは難しいでしょう。同様に、いかに多くの理論を知っていても、それだけで優れたビジネスパーソンになることはできません。<br />
<br />
しかし、十分に型（理論）を身体にしみ込ませた後、200試合とか300試合というオーダーで練習試合（ケース教材）を消化すれば、まあ、ストリート（実践）でもそれなりに戦えるはずです（注）。<br />
<br />
ここでノイズの無いケース教材というのは、こちらの期待通りに動くゴム人形との練習試合のようなものです。それでは、練習試合としての価値が半減してしまうのは明らかでしょう。練習試合には、ストリートファイトのような「不確実性（ノイズ）」が適度に織り込まれている必要があるのです。<br />
<br />
説明としてはかなり不完全ですが、今日のところはここらへんで。<br />
<br />
（おやすみなさい）<br />
<br />
（注）確かに練習試合はストリートファイトに求められるような真剣さが期待できないかもしれません。そのかわりケースメソッドが提供する練習試合では、身長2.5メートルの大男、左利きのボクサー、熊やイノシシと言った野獣、ナイフを持っている相手、少林寺拳法の使い手といった具合に、非常にバラエティーに富んだ相手と戦うことができます。OJTという名の「ストリート放置」では、毎日が同じ相手との勝負だったりしませんか？しかも、相手が自分の実力からして強すぎたり、弱すぎたりして、今の自分にマッチしていなかったりとか。<br />
<br />
美味しかった飯ごうプリン<br />
<center><img src="https://pds.exblog.jp/pds/1/200909/28/05/c0071305_2342363.jpg" alt="_c0071305_2342363.jpg" class="IMAGE_MID" height="333" width="500" /></center><br />
<br />
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  </entry>
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    <title>ケースメソッドの学習（３）：絵本 ＝ ケース教材</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://nedwlt.exblog.jp/12456202/" />
    <id>http://nedwlt.exblog.jp/12456202/</id>
    <issued>2009-09-27T08:55:00+09:00</issued>
    <modified>2011-01-24T10:39:44+09:00</modified>
    <created>2009-09-27T08:54:59+09:00</created>
    <author><name>NED-WLT</name></author>
    <dc:subject>ケースメソッド</dc:subject>
    <content type="html"><![CDATA[人間の成長には「修羅場の経験」が求められると言う意見があります。こうした修羅場の経験が持っている教育的な本質は「今までの自分のやりかたの不備を自覚する」ことにあります。<br />
<br />
世界中のビジネススクールで採用されている教授法であるケースメソッド（具体的な事例を用いたディスカッション・ベースの教授法）が目指しているのが、まさにこの修羅場の経験が持っている教育効果を、教室という制約の中で実現することです。<br />
<br />
ケースメソッドで用いられる、実際の事例をまとめた「ケース教材」には、次の３つの条件が求められます。<br />
<br />
　（１）ビジネスパーソンを育てる何らかの訓練主題を含んでいること<br />
　（２）その訓練に必要な情報がノイズと共に含まれていること<br />
　（３）ケースの登場人物に困難な決断が迫られていること（修羅場）<br />
<br />
昨晩、これって実は、子供にとっての「絵本」に相当するものだということに気がつきました。絵本の読み聞かせによる子育てのフレームは、親子が絵本というケース教材をベースにしてディスカッションをすることにあるのですから、これはほとんどそのままケースメソッドです。<br />
<br />
その意味では、絵本の読み聞かせというのは、同時に複数の子供に対して行ったほうが、ディスカッションが刺激されて良いのかもしれません。ますます、ケースメソッドに興味がわいてきました（笑）。<br />
<br />
*ここで取り上げた（１）の訓練主題についての記述は、KBS専門科目『ケースメソッド教授法』授業資料より引用しています。また、（３）の修羅場が含まれているべきという記述は、『ビジネス・インサイト』（石井淳蔵著）を参照しつつ整えています。<br />
<br />
（おなかがすいてきました）<br />
秋ですね<br />
<center><img src="https://pds.exblog.jp/pds/1/200909/27/05/c0071305_8521266.jpg" alt="_c0071305_8521266.jpg" class="IMAGE_MID" height="317" width="500" /></center><br />
<br />
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