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現在、日本でも親しまれているサンタクロース(Santa Claus)は、オランダ語のシンタクラース(Sinta Klaas)を語源とするアメリカの造語です。本来は、聖ニコラス(Saint Nicholas)のことを指しています。
聖ニコラスとは、現在のトルコにあった古代都市ミュラ(Myra)に住んでいた僧侶で、お金持ちの家に生まれた財力を活かして、恵まれない人々、特に子供達のために生涯を捧げた人だと言われています。現在も当時ミュラがあった所には、聖ニコラスのフレスコ画が残っているようです。 そんな彼が亡くなったのは、西暦343年12月6日。この日を亡くなった日ではなくて誕生日とする風習が各地にありますが、それは子供達にとっては、今も聖ニコラスは生きているからだと思われます。後に、この12月6日は聖ニコラスの日となり、彼の生涯にちなんで、広くヨーロッパでは子供が聖ニコラスからプレゼントをもらえる日となりました(注)。昔のオランダでは、白馬にまたがる聖ニコラスが屋根から屋根を飛び移り、煙突からお菓子を投げ入れていったというストーリーが親しまれていました。 17世紀にアメリカに渡った多くのオランダ人が、アメリカでもこの習慣を広めました。ところが、アメリカに渡った聖ニコラス、すなわちサンタクロースは、オランダの聖ニコラスとは異なる伝承の歴史を辿ります。赤い衣を着て、幅広のベルトを締め、ブーツを履いたサンタクロースの「およそ聖人とは思えない」独特なイメージは、実はコカコーラの宣伝によるものです。このイメージが作られた興味深い歴史は、コカコーラ・ミュージアムのギャラリーに日本語で詳しく載っています。またアメリカでは、子供たちが聖ニコラスからプレゼントを受け取る日が、12月24日に行われていたドイツの幼子キリスト祭(Christkindl = Christ Child)の伝統行事と混合されて、聖ニコラスの日とは異なるものになったそうです。 しかしオランダでは、今でも12月6日が聖ニコラスの日です。つまり12月5日の夜こそが、子供達がなんとか寝ないで起きていようとする夜で、12月6日の朝が、聖ニコラスからのプレゼントを発見する朝なのです(注)。そしてオランダの聖ニコラスの日には、多くの幼稚園、小学校が、子供たちが聖ニコラスからもらったプレゼントを楽しむために、半休や全休になります。 またオランダの聖ニコラスは、今も聖人らしく、キリスト教の僧侶がまとう聖衣に近いデザインの衣装を着ていますが、アメリカのサンタクロースのイメージが部分的に逆輸入されて、いつしかこの聖衣の色は赤白のコンビネーションになりました(元は聖人がまとう聖衣の紫色だったとのこと)。オランダでの聖ニコラス祭の様子は、リンクさせて頂いている「お気楽ママのインターナショナルな毎日ーin Hollandー」に詳しいです。 オランダでは聖ニコラスの来蘭は、国を挙げてのリアリティーを追求したイベントです。およそ半月ほど前から、聖ニコラスのオランダ上陸は始まり、各地に出没します。古い伝承では、聖ニコラスのオランダへの旅は、ミュラからスペインを経由して来るということになっていたようですが、今では多くの人が、聖ニコラスは既に僧侶としてのミュラでの仕事は引退しており、余生をスペインで送っているというストーリーを支持しているようです。現在のトルコから来ているとは、考えにくいからでしょうね(笑)。このオランダ上陸の風景は、これまたリンクさせて頂いている、「調査隊、オランダを行く!」のエントリ「シンタクラース到着!@ユトレヒト」で詳しく見ることができます。 我が娘も、今晩はいつになくソワソワしています。 今年はどんなプレゼントをもらえるのかな? (おやすみなさい) 本稿は、2年前にアップした「オランダのサンタクロース」を部分的に直したものです。 本稿の作成には、聖ニコラス・センター(St. Nicholas Center)の記述を主に参照しています。このサイトは、各国別に聖ニコラス祭の特徴を解説していて、個人的にはとても気に入っているサイトです。聖ニコラスについてより詳しく知りたい方は、是非、このサイトを訪問してみて下さい。 (注)地域や家の方針によっては、前日5日の夜というところも多くあるようです。
by NED-WLT
| 2007-12-06 04:02
| 日々の暮らし
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