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ある後輩からビジネス・スクールで経営学を学ぶ理由について意見を求められました。彼の話を聞いてみると、ビジネス・スクールでの人脈作りや、職場を一旦離れキャリアについて考え直す経験という点についてはかなりポジティブに考えている彼が、ビジネス・スクールで学ぶことになる経営学の理論そのものに関しては「使えないモノ」としていることに少し驚きました。このエントリは、そんな彼への僕なりの意見という形でまとめるものです。
「課長、この前受けたファイナンスの社外研修で、うちの会社で今使ってる管理会計のシステムは理論的には相当時代遅れだって印象受けたんですけど、どうなんでしょうね。」 「実務上問題ないんだから良いでしょ?理論なんて現実の後を数年遅れて追いかけてるようなものだから気にすることないよ。だいたいうちのシステムは有名なITコンサル入れて導入したんだから大丈夫だって。」 元気な若手から「理論的には~」なんて話が持ち上がる度に、豊富な実務経験と外的な権威でもって上司がそれを「理論なんて所詮~」と煙たそうに押さえ込む・・・どこの会社でも日常的に見られる光景でしょう。 経験と実績の足りない若手は理論武装ぐらいしておかないと話を聞いてもらえないなんて考えることもあるでしょうし、上司からすれば過去にそうした理論を実務に反映させようとして失敗した例をたくさん見聞きしているのですから、上司と部下の間で交わされるこんな会話は不可避なものなのかもしれません。ですがこんなコミュニケーションが繰り返されて行くうちに、実務の現場で経営学の理論が持っている本来の価値が必要以上に低く見積もられてしまうとするならば、それは大いに問題だと思います。 言うまでも無く、「これさえ押さえておけば完璧」なんていうパワフルな理論はどこにも存在しません。また「生兵法は怪我のもと」というぐらいですから、そこらへんで得て来た理論を実務に適用しようとして失敗する例は、成功例以上にたくさんあるのだと思います。とはいえ大経済学者ケインズが自称実務家に警告するところは鋭く、一考に価します。 自分たちは理論などにとらわれていないと思っている実務家は、遠い昔の名前すら忘れられてしまった三流学者の説に従っているだけのことが多い。なんだか理論を勉強する気持ちが少し沸いてきますね(笑)。では、実際に本などで何らかの理論に触れたとき、しばしばそれが実務からは乖離してしていて使い物にならないと感じるのはどうしてなのでしょう。理論の理論たるゆえの限界とはどこにあるのでしょうか。ここらへんを抑えておくと、上手に理論を実務に応用して行くことができるようになる・・・かもしれません(笑)。 組織論の大家カール・ワイクは、著書の中で社会行動に関する理論に関して興味深い考察を披露しています(注1)。この考察はあくまで社会行動の研究についてなされているものですが、彼の考えるところは社会行動に関する研究以外にも、より広い分野における研究の成果としての理論にも適用できるものだと思います。 ワイクは、理論には(1)普遍性(2)精確さ(3)簡素さという3つの重要な評価項目があると言います。(1)普遍性とは、その理論がどれぐらい広い範囲に適用可能なのかということです。(2)精確さとは、その理論が現実をどれほど的確に予測することができるのかということです。(3)簡素さとは、その理論がどれぐらいシンプルで理解・応用し易いものなのかということです。 そしてワイクの観察によると、この3つの評価項目を同時に満足させる理論というのは存在しないというのです。例えば、簡素な理論がより普遍性を高めると、それだけ細かな予測における精確さは落ちるということです。理論は「あちら立てれば、こちら立たず」な宿命、ジレンマならぬトリレンマの上に成り立っているのです。トリレンマの存在を意識すると、理論を実務に応用させようとするときには、その理論がこの3つの評価項目のうちいったいどれを「犠牲」にして成り立っているのかを理解しておく必要性が感じられると思います。 例えば、「空手の型」というのはストリート・ファイトの理論のようなものでしょう。その動きにはストリート・ファイトで有効な普遍性があり、同時に空手の生徒がマスターし易いように簡素化されています。しかし現実のストリート・ファイトでは標的は激しく動くので、型どおりに動いていてはこちらの攻撃も当たらないし、防御だってままならないでしょう。つまり「空手の型」というのは精確さを犠牲にすることで成り立っている理論であり、現実のストリート・ファイトでは、たとえ型を完璧にマスターしている有段者であっても、こうした型にリアルタイムで修正をかけつつ動く必要があるのです。もちろん空手道場はこの点をよく理解しているからこそ、型ばかりでなく試合などを練習に織り込んでいるのでしょう(注2)。 型ばかり練習していてもダメだからといって、型に意味が無いということにはならないでしょう。同様に理論には弱点がつきものだからといって即、理論が「使えないもの」になってしまうわけではありません。弱点を把握しつつ注意深くそれを現場に合うように修正・改良し利用する限りにおいては、少なからぬ理論が、不透明な未来を予測するこをと助けたり、置かれた状況を多角的に考え知識を整理するきっかけとなったりするのではないかと思います。 経営の現場に限らず、多くの分野において理論は「それは理論に過ぎない」という言い方で否定されることが多いものです。しかし実務に際し、いちいち理論にばかり頼るのが思考停止であるのと同様に、理論を「理論に過ぎない」という理由にもならない理由でもって拒絶するというのも思考停止に他なりません。実務家によって理論がまさに理論であるという理由でバカにされるとき、そこには変革を先送りしたいという思惑や、座学(型の練習)を嫌う怠慢な態度が見え隠れしているのではないかと思います。 (おしまい) (注1)参照したのは『組織化の社会心理学』です。このワイクの理論に関する考察は、言わば「理論の理論」ということが出来るもので、普遍性と簡素さには優れているような感じがしますが、各理論ごとの欠点を精確に記述することはできない、という弱点があるように思います。ややこしいですね(笑)。 (注2)空手道場における試合は、ビジネス・スクールにおけるケース・スタディーに相当すると考えるとしっくり来ます。ビジネス・スクールごとにそれぞれ型(理論)と試合(ケース)にかける力のバランスがかなり異なるので、ビジネス・スクールを検討する際には、そこらへんの部分は事前によく調べておくことをオススメします。 (蛇足)仮にいつか経営学を学ぶことになるなら早いほうが良いと僕は思います。早めに座学を終えてしまったほうが、残されたビジネスマンとしてのキャリアの中で学んだ理論を実務に活かせる時間が長くなるからです。さらに「吸収力に関する理論-1」でも述べたとおり、広い範囲の知識を一通り得ておくことは、後の実務から得られる知識の吸収力に影響すると考えられます。とはいえビジネス・スクールに通うことにはキャリア上のリスクと無視できない機会費用があることも確かですので、そうした点と合わせた慎重な判断が求められるでしょう。
by NED-WLT
| 2007-06-21 05:35
| ちょっぴり経営学
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