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日本語では「運転資金」と呼ばれることが多いワーキング・キャピタル。なんとなく「事業を続けて行くために必要となる資金」というぐらいに記憶されている場合が多いと思われますが、一度このワーキング・キャピタルに関してはっきり理解しておくと、ファイナンスの肝の部分が少し鮮明になるかと思います。
企業活動は、基本的には「仕入れ→生産→販売→入金」という流れで動いています(注1)。社会人になる前の人は、多くの場面で販売と入金がほぼ同時に起こるような現金取引のケースばかりを経験して育つので、信用取引と呼ばれる販売と入金の間に「時差」が設けられる概念を実感を伴って理解するのは意外と難しいことだと思います。しかしこの時差に関して感度の高いアンテナを持つことは、ビジネスマンとして成熟するのに想像以上に大切な要件だと思います。 まず企業活動の一環として、別の企業から原材料を買う(仕入れる)場合は、基本的には先に原材料を届けてもらって、その品質と量を約束と照らし合わせる形で確認(検収)してから支払いをします。交渉力や過去の取引状況にもよるのですが、原材料を届けてもらう前に手付金として代金の一部を支払ったりすることも一般的です。買う方の心理としては、原材料は必要な時に必要な分だけ届けてもらいたいのですが、支払いはできる限り遅らせたいものです。 逆に商品を売る立場としては、出来れば商品を顧客の手元に届ける前に入金してもらいたい(注2)し、遅れるとしてもできる限りその期間を短くしたいと考えて入金の催促をします。忙しいなどと何かと理由をつけて顧客の支払いが滞ったりするのは企業活動においてはまさに日常茶飯事です。商品を購入しておいてお金をいつまでも支払わないなんて、とても個人では取れないような態度を取るのが企業という生き物です。 原材料の仕入れから、商品販売後の入金までの時間的な流れを、それぞれの要素を明らかにしつつ下に図示してみます。 上の図はたった1つの取引を表しているに過ぎず、現実には複数の取引が並行的に流れています。各々の取引における出金と入金の時差が長くなると、それぞれの取引で資金がマイナスになるタイミングが重なり、結果としてワーキング・キャピタルは大きくなります。ですからワーキング・キャピタルを圧縮するためのエッセンスは、この出金と入金の時差を圧縮することにこそあります。図を見ながら、この時差を圧縮する方法を考えてみると、 1.原材料の保管期間を短くする 必要な時に、必要なだけの原材料を仕入れるということです。これはまさに有名なトヨタのカンバン方式にほかなりません。実際に無駄な材料を持つということは、その分だけ保管スペースの費用もかかるし、保管中に材料が何らかの原因で劣化するリスクを負うということです。 2.製品製造のプロセスを短縮する(仕掛期間を短縮する) 原材料を仕入れてから製品を製造するまでの時間を短くしてやれば、その分だけ製品を早く市場に出荷することが出来ます。製品の製造に必要な期間が短縮されると、製品需要の急な変化にもよりスムーズに対応できるようになり、在庫が売れ残ったり、はたまた機会損出を起こしてしまう可能性も小さくなります。 3.完成品を早く売る とにかく製品が出来上がったらすぐに売ります。可能であれば受注生産(完成品を寝かしておく期間がゼロということ)に近い状態にまで出来れば最高です。昨今の変化が激しい市場では、多くの完成品はすぐに時代遅れになります。もちろん完成品を置いておくスペースは無料ではありませんし、売れ残りの商品が山積みとなった職場というのも精神衛生上良くないでしょう。 4.商品を売ったら、できる限りすぐに代金回収をする 意外とどこの企業も営業の現場は売りっぱなしの売上高重視で、どうも入金は事務屋の仕事と軽んじられる傾向があるように思います。僕の個人的な経験では、営業マンはどうも、顧客に入金の催促をする仕事を嫌う傾向があるように感じます。しかし入金が遅れ、本来は手元にあるはずのキャッシュが無いということは、先の「お金の時間的価値」でも見たとおり、機会費用を支払うことに他なりません。同じ金額のお金でも、少しでも早い入金を心がけることが企業価値を高めます。直接の関係は薄いですが、一般に与信管理の基準を厳しくしたりすることも売掛金を減らすことに貢献します。 5.原材料購入の支払いを遅らせる 倫理的にはどうにも受け入れがたい分部もありますが、とにかく支払いは出来る限り遅らせるというのが基本です。もちろんその結果として仕入先を倒産させてしまったり、仕入先との関係を悪化させてしまってはいけません。何事もバランスですが、支払いを遅らせるということは、仮に原材料の品質などに問題があった場合にも、仕入先に対して強い交渉力を維持できるということでもあり、リスクを少なくするための活動でもあります。 さて、ワーキング・キャピタルの計算方法には理論的なもの、実務的なものと数種類存在します。そうした計算方法をそれぞれ覚えておく必要は無いと思うので、ここではとりあえず扱い易い実務的なモノだけ取り上げておきます。 シンプルですね(笑)。ここで在庫は、原材料、仕掛品及び完成品を金額換算したものの合計です。現実に在庫を金額換算するという作業自体は決してシンプルなものではありませんが、このエントリでは深入りしません。 この式からは、売掛金を減らし、買掛金を増やし、在庫を減らすことがワーキング・キャピタルを圧縮するための3大要素であることが読み取れます。在庫を減らすということは、先で見たポイント1、2、3と同じことです。売掛金を減らすということは入金を急ぐという意味で先のポイント4と同じことですし、買掛金を増やすということは支払いを遅らせるという意味で先のポイント5と同じです。式だけを見ているとワーキング・キャピタルが増減するメカニズムが良く理解できないと思うのですが、ワーキング・キャピタルの本質は時差にあることを踏まえると解り易くなるかと思います。 黒字倒産なんて本当にあるの? 損益計算書が黒字でも資金繰りが上手く行かずに倒産してしまうことを黒字倒産と呼びます。初めてこの黒字倒産の話を聞いたときは「そんなことあるのか」と思う程度でしたが、ワーキング・キャピタルの概念を理解すると黒字倒産が現実的な問題として見えてきます。黒字倒産が懸念される状態というのは、基本的に商品が飛ぶように売れ始めたときです。 商品が爆発的に売れると、営業マンは商品を受注する仕事でいっぱいいっぱいになり、入金の催促にまでどうしても手が回らなくなります。すると売掛金が増えます。さらに商品がどんどん売れますから、原材料が足りなくなって原材料を購入するときの交渉力が失われ、厳しい支払い条件を飲まないと原材料を売ってもらえなくなります。これで買掛金が減ります。そして商品が売れていると企業は強気で雑な販売計画を立てるので、想像以上に売れ残りも膨らみ在庫を普段よりも多く抱えることになる傾向があります。 これら全ての要素から、先の式で考えてもワーキング・キャピタルが膨らみ、借り入れを増やさないと事業が回らなくなるのです。そんなある日、市場の先行きを懸念した銀行が「これ以上は貸せない」と言ってきます。そして同じ日に原材料の支払い期限がやってきたりするのです。キャッシュをなんとか捻出するために手元にある手形を割り引いたり、売掛金を債権化したりしても資金が足りなければ、ついには手形も不渡りということになり完全にアウトです。手形が不渡りということは事実上の倒産です。何故なら今回のエントリで見てきた「時差を設ける信用取引」という概念そのものが成り立たなくなるからです。 まとめ ワーキング・キャピタルというのは簡単な式で求められるファイナンスの指標の一つですが、その意味するところは事業活動における血液循環の根幹でもあるのです。ワーキング・キャピタルの大小を業界平均や競合他社と比較することはもちろん重要なことですが、それ以上に自社のワーキング・キャピタルの増減を厳しくモニターし、その増減が何故起こっているのかを正確に把握することはファイナンスの鉄則だと思います。 (おしまい) (注1)これがもっともハッキリと当てはまるのは第二次産業的な製造業(メーカー)の場合ですが、サービス業でもその定義はより困難にはなるものの、同じ考え方が適用できます。 (注2)デル・コンピューターがこれに近いことを実現したことで有名ですね。他のパソコン・メーカーは基本的に在庫を販売しているのに対して、デルはオンラインで注文を受けてカードによる支払いを確定してから商品を組み上げて顧客の手元に届けています。 「お金の時間的価値 (Time Value of Money)」 2007-04-25 「ネット系ベンチャーのバリュエーション戦略」 2007-01-03 「機会費用 (Opportunity Cost)」 2006-05-27 ●メルマガ『人材育成を考える』もよろしくお願いします。 ●twitterもやってます:http://twitter.com/joesakai
by NED-WLT
| 2007-05-05 03:01
| ちょっぴり経営学
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