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俺が入社したときは、あの企業は一流企業として名前が通っていた。自分探し系の就職本やセミナーに真剣に取り組んだからこそ、入社を許されたのだと思う。あの企業からの内定が決まると、ゼミの同級生たちの俺を見る目が変わったことを鮮明に記憶している。卒業後も後輩の就職指導という名目で、大学の就職課がアレンジする就職セミナーなどで偉そうな発言をしていた。就職を控えた学生に名刺を配る度に自尊心を満足させていた俺は、自分のことを勝ち組だと思っていた。
「次の方、どうぞ。」 くたびれた病院の待合室のようなこの面接会場で、ポールスミスのスーツにロレックスのエクスプローラーなどを合わせているのは俺ぐらいのものだ。別にポールスミスだとかロレックスだから偉いということは全く無いが、あの企業に入社してからというもの、俺は良いモノにこだわるようになった。 あの企業では、入社式で「おめでとう」と言われた。既に勝ちが決まったのだ!毎晩のように催される部署や本部レベルの歓迎会では、俺のことをこれほどまでに受け入れてくれた人々の、その温かさに感激した。本当を言うと、あの企業は外資系コンサルの滑り止めだったのだが、歓迎会を重ねるうちに、そんなことはどうでも良くなった。あの企業のためなら死ねるとすら思った。 毎日終電近くまで仕事をした。忙しいというのは、会社に必要とされている人間にだけ許された勲章だと考えていたし、だいたい早く家に帰ったところで仕事以上に楽しいことなど無かった。俺は職場や関連会社の間でも「デキル奴」として一目おかれていたと思う。忙しくてタクシー帰りが多くなると、俺はむしろその事実を自慢にしていたし、周りもそれを自慢だと受け取っていた。 あの頃は、皆が俺の話を聞いてくれた。俺も得意になって俺の考えを披露した。顧客をてこにして仕入先を怒鳴りつけるときには喜びすら感じていた。電車はグリーン車だったし、フライトはビジネス・クラスにしか乗れない身体になってしまった。経済誌に顔写真入りで俺のインタビュー記事が掲載されてからというもの、ヘッドハンターから職場にまで電話がかかるようになった。これまでお呼びがかからなかったような同窓会からもしつこく電話が来るようになった。 「次の方、いらっしゃらないんですか?」 あの会社はあっけなく外資系に買収された。社内外から尊敬を集めていた産業本部長がクビとなった後は、我が産業本部では義憤にかられて辞職をする者も少なくなかった。外資が来てから全てがおかしくなった。利益も株価も上がったが、社員が軽視されていると感じた。無理な中小企業の買収によって歴史ある企業文化はズタズタにされた。ついにビジネス・クラスに乗ることが経費の無駄とされ、俺の出張申請が却下されたとき、俺はあの会社を辞めることに決めた。 不思議なことに、あの時は辞表を提出するほうが勝ち組なのだと確信していた。実際あの会社を辞めた連中は皆優秀だ。今でもたまに飲みに行くが、皆でベンチャーでも始めれば大成功すると思う。そしてあの会社を買収した外資系は、自分達が失ったものの偉大さに気が付き、悔しさに涙を流すだろう。でももう手遅れなのだ! ベンチャーをやるのにも、昔の連中と馴染みのバーに飲みに行くためにも、今日、この金融機関との面接でローン・プランの変更が出来ないとまずい。今住んでいるマンションを売らないとならなくなってしまう。そうなると子供たちも転校だ。とはいえ、他に面接待ちをしている連中の姿格好からしても、俺が一番信頼できそうに見えることに間違いはないと思う。俺を手放したあの外資系に必ず後悔させてやる。 呼ばれてからすぐに立ち上がったのでは、いかにも金に困っているように見えるだろう。そう思って呼ばれてから一呼吸置いて今、立ち上がるのだ。立ち上がろうとするときにスーツのサイドベントをすり抜けて、あの一流企業の社員証が床に落ちてカチリと音を立てた。それを拾いながら窓の外に目をやると、紺色のリクルート・スーツを着た学生たちがパンフレットを振り回して、なにやら楽しそうに歩いている。彼らには、あの外資系企業に辞表を叩き付けた俺の気持ちは理解できないだろうと考えるだけで、何だか日本の将来までもが暗いものに感じられた。 今日はとても良い天気だったのに。 (注)フィクションです。あえて新入社員が新しい環境で頑張り始めた今、知らず知らずのうちに会社に自我を取り込まれてしまうという、どこにでもある風景だからこそ逆に怖く感じられるものを表現したいと思いました(表現できているかどうかは、また別の話です)。現代社会のように他人との関係性が希薄になりがちな時代は、人間は誰かに熱烈な歓迎を通した全人格肯定をされることで、他人の価値観にコントロールされ易くなっているのではないかと思います。これまで誰にも歓迎されなかったような人格にとっては、自分を認めてくれる組織の価値観は絶対的に正しいものに感じられるのは、ある程度は仕方のないことだと思います。自分の可能性を信じてくれた組織の価値観が間違っているとすれば、それは自分そのものが否定されるようなものだからです。しかしそうした思い込みが、組織の価値観を自分個人の価値観に優先させてしまうきっかけになります。そうなれば組織の言うことには何でも従ってしまう「兵隊」の出来上がりというわけです。実はこの一連の流れは決して新しいものではなく、俗にマインド・コントロールとも呼ばれ、古くから宗教の勧誘などで使われてきた手法です。それが意図的であるか否かに関わらず、マインド・コントロールは多くの企業組織にも存在してきたと僕は考えています。余談ですが『新世紀エヴァンゲリオン』の主人公である碇シンジは、こうした組織の価値観を受け入れることを最後まで拒否し、自分を保っていました。「ここに居ても良いの?」という問いと「果たして自分はここに居たいのか」という問いの狭間で揺れ動く様は、これまでのアニメという枠を超え、純文学に近いものだったと思います。組織からは最高のシンクロ率を出すことができる天才パイロットとして認められつつも、そこから逃げ出すだけの自我を保つことができるというのは相当凄い。言うなれば碇シンジは、将来の社長候補として最大級の扱いを受けつつも、さらりとその場を離れることができる人間と同じ強さを持っていたと思うのです。 ![]() 関連記事 「消費された夢」 2007-01-10 「東京にて」 2005-07-14
by NED-WLT
| 2007-04-17 03:15
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