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生物学的には、ある動物が「美味しい」と感じる食べ物は、基本的にはその動物が元気に生きてゆくために必要な物質を効率よく含むものです。つまり美味しいという快感は、体に欠乏している栄養素、エネルギーなどを積極的に摂取させるための生理作用の一つなのです。喉が渇いているときに飲む水が美味しいのは、身体がそれを必要としているからです。
動物が美味しいと感じるものには、既に遺伝子に組み込まれているようなものもありますが、経験や学習による獲得性の感覚としての側面も多分にあります。当然、動物の種類が変われば美味しいと感じるものの物質構成は全く変わります。また、同じ種の動物であっても、暮らしている環境、年齢や性別によって美味しいと感じられるものが異なるのです。あたりまえのことですが、食べ物の好みは人それぞれということです。 例えば人が他人と異なる「おふくろの味」を好むという傾向は、日本のみならず世界中で見られる傾向のようです。しかし、母親が初めて子供に与えたものを、子供は必ずしもそのときから好むわけではありません(注1)。幼少の頃、家庭という安全な場所で出された食事の味は、当時はそれがそれほど好きではなかったとしても、成長と共に、子供の身体(脳)に「食べても安全な味」として記憶されます。安全な味だからこそ、後に美味しく感じるのです。 なかなか奥が深い「美味しい」という快感。我々はそんな快感を、舌のみならず五感全てで感じているのです。食べ物の味とは「目、耳、舌、鼻、触感」を総動員してはじめて得られる、高度に複合的なものなのです。これらを以下、「美味しさを感じる5つのポイント」として、それぞれ簡単に考えてみようと思います。 その1:食べ物の外観-目 見た目の重要さを表す例としては、マグロ漁船の冷凍能力の話が面白いです。漁船がマグロを冷凍するとき、腐敗防止に必要十分なマイナス20度という温度ではなく、あの赤い色を守るために必要なマイナス35度以下にまで冷凍可能な装置を備えているのは、ひとえに、この見た目を守るためだと言うのです。では、赤い色のほうが美味しそうに感じられるのは何故でしょうか。 動くことのできない植物は、種子を動物に広範囲にばらまいてもらうために、果実に甘くて美味しい味を付けます。特に種に発芽能力が備わる頃には、果実の美味しさは最高潮に達します。赤みを帯びた色というのは、そんな果実が自らの食べごろを動物に知らせるための代表的なものなのです。赤は、果実を食べる多くの動物にとっては、おそらく遺伝子レベルにまで入り込んだOKサインなのです。 その2:食べる時の雰囲気-耳 目、舌、鼻、触感はまあ理解できるとして、耳はいかにも無理やり五感にするために滑りこんだもののように思われるかもしれません。しかし、動物が食事をしているときというのは、外敵に狙われ易いタイミングでもあるのですから、周囲の雰囲気を音として敏感に感じつつ食べるというのは、殆ど本能的なものです。 食事中に安心感につながるような音が演出されることは、想像以上に重要なことだと考えられます。現代社会で言えば、美味しさの秘訣には、会話を楽しみながら、また美しいBGMを楽しみながら食べることが含まれるということでしょう。大勢でワイワイやりながら飲むビールと、一人不安な気持ちで飲むビールの味が違うというのは、多くの人に納得していただけると思います。 その3:食べ物の化学的な識別-舌 言うまでもありませんが、「美味しさ」を感じるときに中心的な役割を果たすのが味覚、舌です。研究者たちによると、舌で感じられる味は、塩味、酸味、苦味、甘味、旨味(うまみ)の5つの基本味にまず分類されるようです。さらにこの5つの基本味に加えて、辛味や渋味などの、舌のみならず、口の中全体が広く刺激されることで感じられる味もあります。こうした味覚とは本来、口に入れた物が栄養か毒物かという判断のために発達した感覚だと考えられています。 この中で、塩味、甘味、旨味はそれぞれ、ミネラル、エネルギー源、たんぱく質に対応した、人間が生きて行くために絶対必要なものを知らせる味覚です。酸味は代謝促進を示すものでもありますが、同時に食物の腐敗を知らせるサインでもあります。そして苦味は本来は毒物を知らせるものです。また、強い辛味や渋味というのは、本来は動けない植物が他の動物に食べられてしまわないように自己防衛のために自らに付けた嫌な味だと思われるのですが、人間の食文化の発達により、料理の味を引き締めたり、生臭みを消したり、食欲を促進させたりする働きが見出されるようになりました。 小さな子供は、酸味や苦味、辛味や渋味を普通は嫌います。人間がこれらの「大人の味覚」までも楽しめるようになるのは、十分に文化的な経験を積んだ後ということになります。味覚は、経験によって鍛えられるということです。 その4:匂いの働き-鼻 目の見えない赤ん坊でも、自分の母親のお乳の匂いが解るそうです。匂いを感じるというのは、物理的には、対象となる物質中に含まれている成分の一部を体内に取り込むことです。ごく少量を持ってして味見をしていることとかなり近いと言って良いと思います。食べ物のある場所を探すということ以外に、この匂いを感じることには2つの大きな理由が考えられています。 1つ目は、食物を口に入れる以前の、鼻の毒物センサーとしての働きです。特に腐敗物を感じる事で、食中毒になることを避ける働きは重要です。また単純に、嫌な匂いを発するものは食べ物ではないことを知らせるサインでもあるわけです。逆に美味しそうな匂いは、これから食べ物を受け入れるための唾液を分泌する刺激になります。 2つ目は、食物を口にした際に、口から鼻に抜ける匂いを感じる器官としての役割です。いかにこの2つ目の役割が大切かということを感じるために、一度、美味しいと感じる食べ物や飲み物を口に含んで、鼻をつまんでみて下さい。鼻をつまむことで、口から鼻に抜ける空気の流れが遮断され、食べ物の匂いが止まります。すると・・・味がそがれていることが感じられるはずです。口を閉じてモムモム食べながらも、我々は美味しい匂いを感じ続けることで、自らの食欲を増進させているのです。 その5:食感-触感 料理を学ぶ時に出てくる食感という言葉の意味は「食べ物の物理的性質に由来する属性であり、口腔内の感覚によって知覚されるもの」です。食感とは、具体的には食べ物の硬さ、ねばり、温度、弾力性、表面のツルツル感などの総称です。本来は、こうした食感は、食べ物の中に含まれている異物などを感じ取る事で、食べ物でない危険なものを飲み込んでしまわないようにするための感覚なのだと思います。しかし人間の文化的に発達した「美味しさ」にとっては、この食感の重要性は測り知れません。ゆですぎたスパゲティー、解凍の済んでいない刺身、水気の多いヤキソバ、冷めたコーンスープ、ぬるいビール! 食物の食感を表現する語彙に関する興味深い日米比較があります。あるアメリカ人の集団(100人)から抽出された食感を示す語彙は78種類であったのに対し、日本人の集団(140人)から得られたのは406種類にも及んだというのです。このような簡単な調査から結論を急ぐことはできませんが、それでも我々日本人は、食感をより大切にする民族かもしれないという仮説は、知っておいて損はないと思います。 まとめ 「美味しい」という快感は、舌で感じる味覚がその中心であることは論を待たないとしても、五感を総動員して得られる複合的な感覚です。料理の目的とは、この複合的な「美味しさ」を自分と他者に提供することです。日々の食事で何かを「美味しい」と感じたとき、それがこの「美味しさを感じる5つのポイント」に照らして何故美味しいのかを問うことが、料理を学んで行くための第1歩だと思います。 (おわり) (注1)雑食性の動物が持つ「新奇恐怖」と言って、特に赤ん坊は、初めて経験する味には大きな不安を抱きます。これは毒物を避けるための本能的な警戒行動の1つで、人間であれば特にピーマンやニンジンなどの癖のある食べ物に対してこの警戒行動が見られるようです。 参考文献 ・ 北海道大学のサイト ・ NUTRAの記事 ・ 『調理のサイエンス』(川端晶子) ・ 『料理のコツを科学する』(杉田浩一) ・ 『「おいしい」となぜ食べすぎるのか』(山本隆)
by NED-WLT
| 2007-01-29 02:46
| 幸せな飲食物
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