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ビジネス用語として最近目にすることが多い「クリティカル・マス」。この概念は、意外と応用範囲が広いように思うので、ここで一度まとめておきます。
語源となっているのは物理学用語である、臨界質量(critical mass)のことだと、僕は理解しています。臨界質量とは、核分裂の連鎖反応を引き起こすのに最小限必要な、核分裂性物質の質量のことを指しています。原子爆弾の基礎構造は、核分裂性物質が、この臨界質量にやや満たないようになる濃度となるように、核分裂性物質を爆薬で包みこんだものです。この爆薬の爆発によって、核分裂性物質の濃縮を一気に進め、臨界質量を超えさせることで爆発的な連鎖反応を生み出す、というのが原子爆弾のメカニズムです。逆に、発電を目的とした原子炉では、こうした連鎖反応の速度を緩やかにコントロールすることで、そのエネルギーを平和的に利用しようとするものです。ただ、運用を誤ると、先の東海村での臨界事故に見たように、制御不能の連鎖反応が起こってしまうことがあります。 核爆発の基礎というイメージからか、これが「ある現象が爆発的に進むために必要となるための量」というような意味に拡大解釈され、特にマーケティングとオペレーションの分野で、広く使用されるようになったのでしょう。俗にブームなどを言い表す時に使う「火がつく」という言葉とも似ていますが、クリティカル・マスの場合は、一過性のブームとは異なり、一度臨界を越えてしまえば、効果は持続的で不可逆的であるというニュアンスが含まれています。とはいえ、実務の場面では、これをそれほど厳密な意味として使用しないで、単純に「火がつく」程度の意味で使うことも多いように思います。 「最近、商品Aの販売に勢いが付いてきましたね」という代わりに、「最近、商品Aの出荷量はクリティカル・マスを超えたみたいですね」と言ったほうが、カッコイイという具合です(笑)。 経営学の文脈において、クリティカル・マスと言うと、通常は、ある製品の生産活動や販売活動において、ある一定の生産量や販売量を超えると、爆発的に生産性が高まったり、顧客の認知度が高まったりするような場合の、臨界となる生産量や販売量のことを指していると思います。 製品出荷量と、顧客による製品の認知度の一般的な関係をグラフにしてみます。なお、下の例では、簡単のため、爆発後に線形となったグラフ部分の接線とx軸の交点をクリティカル・マスとしましたが、曲線における変曲点などがこれに相当することもあり、クリティカル・マスを厳密にどの点とするのかは、文脈によって異なるので、注意が必要です。 では、業界や分野によって全く異なると思われる、クリティカル・マスの値とは、実際には、どのようにして測定されるのでしょうか・・・。そこらへんは、そうそう理論的に求められるようなものでもなく、販売データや製造データなどから帰納的にノウハウとして抽出するものとならざるを得ないように思います。クリティカル・マスの量を調べることは、とても難しいことですが、しかし、それをある程度正確に理解していることは、マネジメントによる戦略策定を助けます。 例えば、一般消費財の販売戦略などでは、ある商品の出荷量が、マーケットによる製品認知のクリティカル・マスに達するまでは、特別価格を設定したりして、販売価格を低く抑え、逆にクリティカル・マスを超えたら、販売価格を徐々に上げて行くといったものは、比較的ポピュラーなものかもしれません。 ちなみに、稀にクリティカル・マスと損益分岐点(break even point)を混同している記述に出会うことがありますが、クリティカル・マスと損益分岐点は必ずしも一致しません。爆発的に売れた商品でも、しばらくは赤字なんていうこともありますからね。逆に、利益が出ていても、クリティカル・マスを超えられずに、撤退を余儀なくされる事業もあるでしょう。損益分岐点がビジネスにとってクリティカルであることには同意しますが(笑)。 クリティカル・マスの概念は、そのまま勉強の学習効果などを説明するためにも使えそうです。例えば、英語が聞き取れるようになるためには、相当量の英語を、意味が解らなくても、とにかく聞き込むことが必要です。英語の聞き取りも、クリティカル・マスを超えると、自分でも驚くほど、いきなり聞き取れるようになったりします。 こうした、ある点を越えるといきなり視界がパッと開けるような効果は、僕の経験では、語学に限らず、いわゆる学習一般に当てはまるように思います。スポーツや楽器などにおける技術の習得でも、練習量とパフォーマンスの関係は、単純に線形ではなくて、このようなクリティカル・マスのある、曲線であるような気がします。僕は、「石の上にも三年」という格言は、クリティカル・マスの存在を暗に表現しているのだと考えています。
by NED-WLT
| 2006-02-10 06:20
| ちょっぴり経営学
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