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![]() 個人のキャリア開発においても、企業経営においても「差別化(differentiation)」は最重要の概念です。「差別化」の目的は、手ごわい競合が多数ひしめく世界において「競争優位(competitive advantage)」を獲得することです。 ●どうして「差別化」が重要なのか シンプルに言い切れば「差別化」されていない「似たようなもの(平均的なもの)」は運命的に「供給過多」になるからです。「供給過多であるということは、相対的に少なくなる「需要」をめぐって血で血を洗うような、勝ち目のない競争に陥るというだけではありません。 「供給過多」とはいえ、そこには、その規模の供給が求められる市場があります。そうした大きな市場は、イノベーターにとっては新規参入の格好のターゲットです。デジカメが、スマホの写真アプリに破壊されつつある(注1)ように「供給過多」となっている市場は、そもそも異分野からの参入を呼び込みやすいわけです。 ●どうして優れた「差別化」は実現されないのか 誰もが「差別化」の重要性を理解していながら、それがなかなか実現されない理由については、ヤンミ・ムンによる『Different: Escaping the Competitive Herd』(邦題:『ビジネスで一番、大切なこと 消費者のこころを学ぶ授業 (ステップ1)ある企業が、顧客に対して優れた価値提案を行う(ステップ2)顧客が喜び、その企業の業績が上がる(ステップ3)競合がそれをコピーする(ステップ4)優れていた価値が、その業界の標準になる(ステップ5)顧客の価値判断基準が高まり、顧客の目が厳しくなる(ステップ6)ステップ1に戻る・・・。 このステップを繰り返すと(ステップ1)を実現する余地が時間とともにどんどん少なくなっていきます。いずれは顧客から見て取るに足らない小さな差異を、差異としてなんとか強調するという「むなしい争い」に落ち込んでしまいます。 しかし、心理学者ウィリアム・ジェームスがいうとおり「差異を生まない差異は差異ではない」わけです(注2)。ビジネスの文脈に翻訳すれば「(企業の業績に)差異を生まない(顧客から見て取るに足らない)差異は(実務的には)差異ではない」ということ、ゆめゆめ忘れるべきではないでしょう。 ●どうして競争から完全に脱却するような「差別化」は難しいのか これまでの話をグラフで表現すると、以下のようになるでしょう。平均的な商品と比較して、差別化の度合いが高まれば、顧客からみた価値が高まります。 ![]() この境界は、別の表現では「死の谷(valley of death)」として知られています(注3)。これをグラフで表現すると以下のようになるでしょう。これが、競争からの完全なる脱却になるような「差別化」が危険であり、難しい理由です。 ![]() レアな本物を見分ける力は、その道の専門家として認知される大切な条件です。それを見分ける力があればこそ「本物」を誰よりも先に「掘り出し物」としてゲットできるわけです。そこには「違いがわかる人」としての尊敬も集まります。「目利き」であるだけで、食べて行けるわけです。 ●破壊的イノベーションの発生メカニズム しかし、まれに、死の谷の向こう側に「破壊的イノベーション(disruptive innovation)」が生まれることがあります。ウォークマン、Google、初代iPod、iPhoneなどがそれに相当するでしょう。こうした破壊的イノベーションは、まず、それが生まれた直後には顧客に理解されません。以下みたいな感じです。 ![]() しかし「目利き」がそれを見出し、その「目利き」に頼る人々がその商品を認知した時点で、市場は変わります。一部にはまだ、その「破壊的イノベーション」に懐疑的だったり、その存在自体を認知しない人々もいるため、この時点では、市場は割れます。割れはしますが、しかし、古い市場において、過去最高値を付けていた商品の値崩れが起こるはずです。 ![]() この段階になると、過去最高値で取引されていた商品は、行き場を失い、同じコスト構造ではその商品を流通させることができなくなり、市場から消えていきます。 ![]() ![]() しかしその後は、先に紹介したヤンミ・ムンによるステップを踏んでいく無限ループに入ることになるでしょう。平均的な商品が、高級な商品を「模倣」し、業界そのものが、むなしくも差異とは言えない差異を強調しながら、縮退していくことになります。このサインは、以下のグラフのように、高級な商品の値崩れとして観察することができるはずです。 ![]() ●重要なのは「破壊的イノベーション」ではなくて「目利き」 ここまでの話を総括すると(1)「差別化」しないと滅びる(2)しかし「死の谷」の内側ではブランディングに寄与するほどのインパクトは起こせない(3)だから「破壊的イノベーション」が求められる(4)「破壊的イノベーション」を普及させるのは「目利き」である(5)「破壊的イノベーション」ですら延命の手段にすぎない、ということです。 この総括において、唯一、負のスパイラルから独立していて自由なのが「目利き」です。そうした「目利き」があればこそ、競合の平均値から遠く離れたところに、新たな「本物」を生み出すことができるのです。では「目利き」とはいったい、どのような人々なのでしょうか。 この分野には、日本語で「普及学(Diffusion of innovations)」とも呼ばれる研究分野が存在し、特に、社会学者エベレット・M・ロジャーズ教授(スタンフォード大)が提唱した「ロジャーズの普及理論」が有名です(注4)。 普及学によると「目利き」に相当する「初期少数採用者(Opinion Leader)」は、他者にその商品が優れていることを主観的に伝える発信力と影響力をあわせもった人々です。彼らの力によって普及率が市場の16%を超えると、シェアは急速に拡大すると言われています。 ●では「目利き」とは誰のことか すでにお気づきだとは思いますが、こうした特徴を持った「目利き」とは、現代的な言葉では「キュレーター」のことです。 「キュレーター」とは『キュレーションの時代 「つながり」の情報革命が始まる 過去、こうした人々は「ディレッタント(dilettante)」と呼ばれたことがあります。「ディレッタント」とは本来、学問を愛している素人のことです。意地悪な言い方をすれば、自らの専門性の無さに強いコンプレックスを感じ、それを埋め合わせるように情報を収集し、学問の成果を「知っている」ことに安堵するような存在でした。 しかし、現代の「ディレッタント」には、発信する情報によって影響力を確保し、埋もれようとしている「破壊的イノベーション」に火を灯すという社会的な役割が与えられています。商材でも人材でも、出過ぎた杭は「目利き」に発見されなければ、打たれるものなのです。 ●まとめ 長々と書いてきましたが、成熟した競争社会における「差別化」には、生きるか死ぬかという重大な意味があります。それを自覚するビジネスパーソンは多いと思いますが「死の谷」の内側にいるかぎりブランドは確立されません。 実は、この記事のトップに挿入したイラストには、大切な秘密があります。それは「差別化」を無視して集団を形成しているの男女(左側)はイケメンとかキレイ系のお姉さんなのですが、優れた「差別化」に成功している男性(右側)は、あまりイケていないということです。 ![]() そして距離を取っただけでは、市場からは「ニセモノ」と判断されてしまいます。そこで「目利き」に商材を見つけてもらい、その普及を助けてもらえてはじめて「ニセモノ」は「破壊的イノベーション」として認知されるのです。 とはいえ「破壊的イノベーション」と言えども、現代社会においては、その寿命は決して長くなさそうです。それを何度でも生み出せるようになるために開発・開拓すべきリソースとは「目利き」なのだと思います。蛇足ですが、ジョブズのすごさは、彼がイノベーターであり、かつ「目利き」であるという2面性を同時に持っていたことなのではないでしょうか。 (これから、お仕事です!) (注1)例えば野村総合研究所『これからICT・メディア市場で何が起こるのか』におけるp40などを参照ください。 (注2)人事の世界では避けて通れない名著『コンピテンシー・マネジメントの展開(完訳版) (注3)「キャズム理論」として知られている概念です。ジェフリー・ムーアによる著作『キャズム (注4)エベレット・ロジャーズ『イノベーションの普及 ■ 新刊が発売となります! 新刊は『ビジネスでいちばん大事な「心理学の教養」 (ではでは)
by ned-wlt
| 2013-06-29 09:44
| ちょっぴり経営学
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