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今年読んだ本の中で、最も感銘を受けた本を紹介しつつ、自分の考えをまとめるためのエントリです。長文ですが、お付き合いいただけると嬉しいです。
●勉強時間と成績の関係 長時間勉強をすれば、成績は上がります。もちろん、ただ勉強すればよいというわけではありませんが、学習時間と成績の間に相関があることは広く認められています。もう少し踏み込むと、テレビを見ずに、勉強することができる子供は、成績が良いという報告もあります。 では子供に「テレビを消して、勉強しなさい!」と言えば、それで良いのかというと、そうでもなさそうです。親に叱られたくない(または親に褒められたい)という動機によって勉強する子供は、親の見ていないところでは勉強する動機が生まれないからです。 誰かに褒められたり、叱られたりするまでもなく、自分の学習を自分で管理する学習スタイルのことを、専門用語で「自己調整学習(self-regulated learning)」と言います。教育学の世界では、この自己調整学習の能力が、学習の到達度合いと深く関わっていると言われます(例えばバリー・J. ジマーマンの著作群 ●自己調整学習に向けて 自己調整学習が重要なのは、子供に限らず、社会人でも同じことですね。勝手にどんどん目標を立てて、それに向かって誰に言われるまでもなく学習していく人(=積極的学習者)と、経営者や上司に褒められたり脅されたりしないと、自分では学習に向かわない人(=消極的学習者)とでは、成長に差がでるのは当然でしょう。 僕はこれまで、経営者としても親としても「人間は、どうすれば他者から与えられる報酬によらず、自発的に学習に向かうことができるのか」というテーマに興味を持ってきました。そんな中で出会ったのが『報酬主義をこえて(新装版)』という本でした。 ![]() 僕が本書に出会ったきっかけは、富士ゼロックス総合教育研究所のこの記事でした。原題は『Punished by Rewards(報酬による罰)』という、ちょっと過激なものです。著者は、最初の著作『競争社会をこえて』でアメリカ心理学会賞を受賞した評論家、アルフィ・コーン氏。 本書は、褒めること、叱ることを含めた、広い意味での「報酬(外発的報酬)」による他者のコントロール(オペラント条件づけなど)の危険性を指摘しつつ、自己調整学習に見えられるような、より内発的な動機づけを考えるものです。 ●『報酬主義をこえて(新装版)』の紹介 本書『報酬主義をこえて(新装版)』の主張を僕なりに短く言いきれば「動機づけとは、教育の手段ではなく、目的である」ということです。これは、僕にとっては非常に大きな気づきでした。 例えば、子供に勉強をしてもらいたければ「知りたい!」という動機づけをすることが必要なわけです。ところが、勉強を「させる」ために、しばしば用いられるのは「誰かに勝ちたい!」とか「褒められたい!」とか「怒られたくない・・・」とか「ご褒美をもらいたい!」といった、子供に勉強をさせる「手段としての」動機づけです。 手段としての動機づけによって勉強をしている子供は、自分に報酬を与えてくれる他者のいないところでは、勉強をする動機がないわけです。この背後にある問題を考えるため、以下、本書の記述をいくつかピックアップしつつコメントしてみます。 アメによって反応を引き出せはするが、同じ行動をさせ続けるためにはアメを与え続けなければならないという事実そのものが、アメの長期的効果(あるいはその欠如)についてのカギを提供しているのではないかということである。(p25)僕自身、子育てをしていて、褒めること(アメ)の効果は持続しないという問題だけでなく、そこにあるリスクも漠然と感じてきました(例えば、このエントリ)。ですが、本書を読んだ今は、このリスクが明確にわかるし、その避け方のヒントを持っています。 報酬と罰とは基本的に同じようなものである。現代の社会心理学の創始者であるカート・ルーインが言うように、両方とも「そのときの自然の場面からは生まれないような行動」を引き出そうとするときに使われる。さらに、長期間にわたって見るとどちらもまったく同じ様相を示すことが分かる。つまり、こちらの望むような行動を続けさせるためにはやがて賭けるものを上げ、報酬なり罰なりをどんどん増やしていかなければならないのである。(p74)性善説だけで人間社会を運営することはできないでしょう。ですから時には「自然の場面からは生まれないような行動」を引き出すことは、どうしても必要なような気がします。ただ、そのために、相手にとっての「自然」にアプローチしようとするか「行動」にアプローチしようとするかは、こちらが相手を「どれぐらい愛しているか」にかかっているように思うのです。 報酬を与える場合、そもそも問題がなぜ発生したかに注意をすることは全然必要でない、という理由である。子供が泣きわめいている原因、生徒が宿題をやって来ない原因、従業員が気の乗らない仕事ぶりをする原因を考える必要はなく、ただ該当者を買収するか脅すかして活を入れればいいのだ。(p87)これは、かなり鋭い指摘ですね。実際に、恐怖という報酬は、他者の行動を変化させるために強力なツールです。 僕は、大学院で人的資源管理を習ったJean-M. Hiltrop先生に「ローマの大水道や、エジプトのピラミッドを作らせた管理者は、作業者にどのような動機づけを用いたのですか?」という質問をしたことがあります。彼は慎重に言葉を選びながら「恐怖・・・だと思う」と答えてくれました(あくまでも僕の記憶の中の話なので、先生の正式なコメントではありません)。 「こうすればあれをあげるよ」と言えば、関心は「これ」ではなくて「あれ」に行ってしまう。従業員に給料袋の中身について考えさせたり、生徒に通知票のことを心配させたりするのは、創造性を重んじようという場合にはほぼ最悪の戦略である。(p99)この記述にはハッとさせられました。ルーティンワークの多くがコンピューターに置き換えられようとしている時代にあって、創造性が重要であることは疑えません。その創造性が、報酬によるコントロールを強めることで失われる可能性があるとするなら・・・。 子供たちは内発的な学習意欲を持っている。褒めたり操ったりすれば、その自然な動機づけを押し殺し、そのかわりに盲目的従順や機械的学習態度や権威に対するあからさまな反抗を生み出すだけである。(p142)人間に限らず、おそらく他の動物にとっても、自分が成長するということは、自分の生存確率が上がることを意味します。であれば、子供に限らず、大人にも「成長したい!」という欲求が備わっているはずでしょう。 この欲求は「学習に対するひたむきさ」と結びついていると思われます。そう考えると「成長したい!」という欲求の格差が、色々な結果の格差として生まれてくるように思います。 知りたいのは、この欲求に格差が生まれてしまう理由です。この仮説として、個人が過去に受けてきた「動機づけ教育」に関連しているのではないか、というのが本書の視点なのだと思います。 ●まとめ 褒めたり、叱ったりということが重要であることは、それが結果として人の行動を変えるというデータが多数あることからも明らかです。それによって成長したり、救われたりするケースがあることも事実です。ここは否定できません。 だだ、他者に褒められたり、叱られたりして自分の行動を「変えられる」ほうの人間からすれば、そこには「自分が他者の価値観によってコントロールされる」という側面があることも事実です。ここには倫理的に難しい問題があるという認識も求められると思うのです。 言えるのは、一人の人間の持っている可能性は、もっとすごいはずだということです。望ましい行動を取らせるために報酬というニンジンを与えることは、その人が持っている「行動そのものへの興味」を殺し、ニンジン中毒を作り出してしまう危険性があります。僕たちは、積極的に他者の価値を承認すると同時に、こうした危険性を慎重に回避するための方法を学ばなければなりません。 理想論かもしれませんが、狙いたいのは、他者から与えられる報酬に関係なく、力強く自分の考えるところを突き進む人材の育成だと考えています。誰かに「いいね!」ボタンを押してもらうために生きることは、僕には、どうしても「むなしい」ものに思われます。 (長くて、ごめんなさい・・・) 色とかたち ![]() 「アンダーマイニング効果 (Undermining effect)」2008-01-17 ●無料メルマガ『人材育成を考える』もよろしくお願いします。 ●twitterもやってます:http://twitter.com/joesakai
by ned-wlt
| 2011-12-23 22:42
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