ソーシャルグラフ

僕たちは、ブログやSNS、Twitterやメルマガなど１人の人間が複数のメディアを管理するような時代にあります。こうなってくると、多くの人が「自分のデータ」を自分で所有できず、個々のメディア・サービスを提供してくれているプロバイダーに握られている（あちら側に握られている）ことに不安を感じるのが普通でしょう。

ここで「自分のデータ」というのは少なくとも２つの要素で構成されています。１つは「自分の発言（ログ）」であり、もう１つは「自分の関係性（ネットワーク）」です。こうした「自分のデータ」を、メディア・サービスのプロバイダーの枠に囲い込まれないように広く連携させれば、世界中に散らばる人間の関係性そのものに近いものをネットの世界に実現させることができるでしょう。この概念を特にソーシャルグラフ（Social Graph）と言います。

こうしたソーシャルグラフの概念を提唱したのは米国に在住するエンジニアBrad Fitzpatrick氏（2007年の声明とその翻訳）で、氏は「自分の発言（ログ）」と「自分の関係性（ネットワーク）」という「自分のデータ」は、基本的にユーザーに帰属し、どのサイトでも利用できるようにするべきと唱えています。

しかし、現在のSNSなどに代表されるメディア・サービスのプロバイダー企業は、ユーザーの囲い込み合戦をしているのが現実であり、ソーシャルグラフの実現は簡単ではありません。OpenIDへの対応などが鍵になりそうですが、ユーザーの囲い込みから収益を上げている企業が、ソーシャルグラフの実現に積極的になるというのは考えにくいでしょう。

何か調べたいことがあれば、検索ではなくてTwitterにつぶやいたりすると、誰かがリンクをくれることを考えれば解る通り、究極的には、ソーシャルグラフはGoogleなどの検索エンジンにも取って代わる可能性があります。自分の同僚や友達になにかをたずねるのと同じ感覚の「口コミ」という強力で信頼性の高い人力検索が立ち上がる可能性があるということです。

（きょうは取材があります）

鎌倉

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