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今からおよそ3千年前のこと。小アジア、リディアは大飢饉に襲われました。このときリディア人が取った解決策は、飢えを忘れるほどにゲームに没頭するというものだったとヘロドトスは伝えています。
この逸話が意味するところは人間の本性に関する鋭い洞察です。人はパンのみに生きるにあらず。金銭や権力、地位や名誉だけが人間の生きるモチベーションを活性化させる(動機づける)のではないということです。 無論、決して満たされることのない人間の欲望を前提としつつ、金銭などの外発的な報酬をアメとして人を動かすという人間社会のシステムが、これまで非常にうまく機能してきたという歴史を忘れることはできません。僕自身が過去に「牙は折れたか」というエントリで自分のモチベーションが下がった時に対処する方法として、自らこうした外発的な報酬を求める方法を挙げています。 しかし、このような外発的な報酬と、規範から外れたものへの外発的な罰こそが人間社会システムの本質であると単純化することにいくばくかの真理があるならば、この社会システムが人間の実生活もたらすのは事実上の「脅迫」です。 他人との比較において良い成績を上げるために勉強をするという受験勉強はその好例です。親は勉強の意味がまだ良く理解できない子供に受験勉強をさせるために、褒めたり、脅したり、時にはそれこそ子供が欲しがるゲームなどのご褒美を与えます(逆に言えば、これは勉強をしなければ望むものは与えられないという手の込んだ脅しです)。 親によるこれらの行為は、子供に対して「外発的な報酬を得るために辛いことも我慢し成し遂げる」という、完成された脅迫型の社会システムを教育することであると解釈できると思います。この脅迫が上手く子供の心に染み込めば、人間社会のシステムを潤滑に動かすための「大人」が出来上がるという仕組みです。しかし、こうした脅迫型の社会システムには欠陥もあると考えます。それはこのシステムに付随している次のような価値観の存在です。 為さねばならないこと、勉強や仕事はそれ自体は無意味であり、その結果として得られる報酬のみにこそ価値がある。為さねばならないことは、基本的に楽しいことではあり得ない。 このような価値観が生み出すのは、仕事と余暇の断絶です。このままでは仕事とは我々の内発的な欲求に逆らって「我慢」をして遂行しなければならないことであり、余暇とは無益ではあるが自分の好きなことをすること、となってしまいます。 僕自身が、常々受験勉強や仕事に退屈と欲求不満を感じてきたし、せっかくの余暇に「こんなことをしていて、競争に遅れてしまわないか」と焦燥感を越えた罪悪感すらを感じてきたのは、こんな価値観が植え付けられてきたせいだと思うのです。休日に読む本として、小説ではなくて、ついついビジネス書に手が行ってしまう心の貧しさも同根だと思います。 こうした状態を少しでも改善するのは容易なことではないのですが、外発的な報酬にのみ依存しつつ生きるということは、不愉快な序列に一喜一憂する他者との競争のみを意識して生きるということであり、それらは決して拭い去れない「疎外感」と、覆る事など決してありえない「劣等感」として結晶化するしかないように思われます。友達とすら競争を前提としてしか付き合えないというのは、もはや病気というべきかもしれません。 鍵となるのは、仕事や勉強、余暇の別無く、いかに物事を為すという行為そのものを楽しめるようになるかにあるのだと思います。誤解を恐れずに言えば、それは飢餓の危機に瀕したリディア人の発想を拡張して、人生において自らが為す行為の多くを、脅迫観念によってドライブされる外発的なものでなく、内発的な遊び、ゲームとして捉え直すことに近いのではないかと思うのです。 具体的にどのようにしてこの「ゲームとしての捉え直し」を行うのかとなると、単に僕の不勉強のせいかもしれませんが、万人に共通するような確実な方法論は存在しないように思います。僕の場合は大好きな釣りという遊びに集中しているときの幸福感に至るプロセスを、普段の仕事や勉強に持ち込むと上手く行くように感じています。それと、上司から強要された仕事のように外発的なものも、あたかも自分のベンチャーでの取り組みであるかのように自発的なものへと規定しなおすことでも気分が大きく変わるようにも思います。 そしてこれはとても難しいことですが、楽しい遊びの前提は「嫌ならいつでも止められる」というような参加と撤退の自由にこそあるのですから、仕事においても自らのスペシャリティーを高め、会社への依存度を極力低く保ちつつ、本当に嫌なら辞めてしまうという強さを備えることが、結局は幸福なプロフェッショナルへの近道なのではないかとも感じます。 不思議とやる気になった勉強も、親に「勉強をしなさい」と言われたとたんに、その勉強へのモチベーションを完全に失ってしまった理由も、今回のエントリでまとめたところとかなり近い部分にあることは僕の中でははっきりしています。勉強であれ仕事であれ、いかなる行為であっても、それが外発的であることと内発的であることの間には、無視できない重要な違いがあるのです。 ■我が家の教育戦略: 第8条 現実として人間社会の厳しい競争に打ち勝つという視点を大切にしつつも、相対的な問題として、物事に対して「楽しみながら自発的に」チャレンジして行くという姿勢に価値を置いた教育をして行きたい。そのために、子供の内発的な好奇心を刺激することに努め、いわゆるアメとムチによる脅迫を前提としたコントロールをなんとか最小限としたい。 本稿の記述におけるコアの部分は、その多くを『楽しみの社会学』(チクセントミハイ)を参照しつつ書いています。すばらしい本ですので、機会があれば一読をオススメします。 「取扱注意-もう少し深く」 2005-10-26 「25メートル、キャー!」 2006-12-15 「お手伝いがしたい!」 2006-06-29
by NED-WLT
| 2007-05-22 03:29
| 我が家の教育論
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