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昨日のエキサイト:社会ニュースによると、厚生労働省の人口問題研究所は、日本の人口減少のペースが、これまでの予想以上に速まっていることを示したということです。これによると50年後には、日本の人口は現在の3割減、9000万人を切るのだそうです。
こんな状況にあって、キャッシュの一括払いではなくて、巨額なローンを組んでまで自宅を購入するという選択は如何なものか。今一度、自分の考えを整理しておこうと思います。例によって、このエントリはあくまでも僕の個人的な思いつきをまとめるものであって、アドバイスなどではありません。 買った家は、将来売ることができるのか 人口が減るということは、そもそも持家を買う可能性のある人の数が少なくなるということです。もちろん、既に日本の住宅戸数は総世帯数を上回っています。ところが、人口が減りはじめ、十分な数の住宅があるにも関わらず、日本ではまだ毎年100万戸を越える新築が着工されています(注1)。これからは、マンションのスラム化やゴーストタウンの出現などによって、より目に見える形で空家が増え、人々に住宅の供給過多が実感されるようになって行きそうです。 日本の持家比率は、世帯レベルで62%を超えています(注2)。既に自宅を所有している人は、まあまず、もう一軒家を買うということもないでしょう。このようにして自宅を所有しているのは、主に団塊の世代を中心とした高齢者世帯です(注3)。現在は自宅を所有していない残りの38%の世帯は、物件を自分達で購入する以外にも、親の自宅での同居や、その相続などによって持家を入手することが可能です。そのため、まだ自宅を所有していない世帯が残っているとはいえ、こうした世帯が、今後持家を購入する可能性は、それほど高くはないと考えられます。 今、日本で家を買う場合には、将来売れないかもしれないものを買っているという覚悟が必要だと思います。言葉は悪いですが、向こう50年の日本を考えるとき、住宅というのは時間と共に価値の目減りする、供給過多の使い捨て商品(耐久消費財)だと僕は思います。そうした意味では、住宅購入とは、高級車を買うことに似ています。 買った家に、ずっと住むことができるのか 買おうと、買うまいと、人には住む家が必要です。どうせ家賃を払うぐらいなら、持家のローンを払うほうが、最終的には得だという発想があります。この発想は、これからずっと引越しの必要が無いのであれば、金利や物価などの条件次第では正しいものとなり得ます。逆に、どうしても引越しが必要となった時に持家が売れないとすれば、これはかなり厳しいことになります。 ローン破綻してしまうという理由以外で、引越しを迫られる主な要因として今後考えられるのは、職場の変化、自治体の財政破綻、地球環境の変化の3つです。これら要因について、それぞれ可能性を考えてみます。 まず、地理的な意味での職場は変化するでしょうか。おそらくYESです。転職することは、今後よりあたりまえなことになるでしょうし、転職をしないまでも、企業の住所移転も増えると考えられるからです(注4)。通勤可能圏内で転職するから、多少遠くても大丈夫?本当でしょうか。企業は、今後も通勤手当を支払ってくれるでしょうか。ホーム・オフィス?自宅に居ても出来るような仕事は、国内ではなくて、きっとインドあたりに外注されるようになるでしょう(注5)。 自治体の財政は大丈夫でしょうか。今住んでいる自治体が、夕張市のように破綻してしまった場合は、医療や学校教育などの重要な福祉サービスを受けるために、引越しを考えないとならないでしょう。夕張市のケースは、日本の借金の現状と、これから50年という時間を考えたとき、果たして対岸の火事でしょうか。自治体間の格差というものも、今後は、これまで以上に顕著化するはずです。 地球環境の変化、特に地球温暖化の問題は、僕の個人的な意見としては、人類は既に「point of no return(注6)」を超えてしまったと思います。これからの海面の上昇と地球規模での気候の変化は避けがたいと考えます。多くの土地は水没するか、土地の液状化などによる深刻な地盤沈下で住めなくなるでしょう。水没しないまでも、極端な気温の変化や、雨風による災害などによる影響も無視できなくなるはずです。海水温の上昇による台風の巨大化はよく指摘されますが、それ以外にも年間の降雨量が極端に増えたり、逆に砂漠化が起こったりするかもしれません。こうした環境変化に伴って、新たな風土病のようなものが発生する地域もあるでしょう。そして日本には、常に地震のリスクがあることも付け加えて置きます。 貯蓄や所得はどうなるのか 『人口減少時代の読み方 仮に、給与が今後もあまり変わらないとします。それでも、人口減少と少子高齢化から、年金や健康保険、そして雇用保険の個人負担額は、今後急激に増加すると考えられます。消費税などの増税も避けられません。さらに、日本人1人当たりの、高齢者の介護にかかる費用も上昇するでしょう。 こうした状況では、定額ローンで金利の変動も無く、運良く給与に大きな変化はないと仮定しても、ローンの家計への負担は増し、可処分所得が減少して行くことになります。また、住宅を取得する場合には、共益費、管理費、修繕積み立て費などの住宅維持費と、固定資産税などの出費も忘れることはできません。これらはローン完済後にもかかる費用です。住宅はもはや、資産(お金を生み出しうる可能性のあるもの)ではなくて、負債として認識することが大切だと思います。 賃貸市場はどう変化するのか 分譲マンションは現在、完全に供給過剰です(注8)。残念ながら、現代の日本には、金融機関や不動産会社などのセールスに乗ってしまい、無理なローンを組んでいる人々が多くいると考えられています。そのため今後は、ほんの少し金利が上昇したり、税率が上がったりするだけで、賃貸市場には、ローン破綻した人々が過去に所有していた物件が多数流れてくると考えるのが自然です。その上に急激な人口減少ですから、中・長期的には賃貸物件の賃料は安くなり、また選択肢も増えると考えられます。 しかし、賃貸の不利な点としてよく持ち上がる「高齢者への物件貸し渋り」などの問題は、今後も深刻な問題として残ると思われます。また、賃貸物件はリフォームなどの融通が利かないし、駐車場代などは持家よりも割高になるでしょう。賃貸は比較的狭い物件が多く、また設備に不満があっても勝手に変更できません。当然、賃貸は賃貸なりに、我慢をしないとならない点も多数あると思われます。 結論 賃貸で家賃を支払うのは、持家のローンを払うのと同じ出費(損金)なのだから、最終的に資産として残る持家のほうが有利だというロジックが取り上げられることがあります。しかし僕の考えでは、賃貸の家賃というのは、変化の激しい時代に即してフレキシブルに生きるための「費用」であるのに対して、持家のローンとは、自分の欲しいものを得るための金銭的な「損失」であり、その維持費は「負債」です。さらに言えば、売れない持家に暮らすということは、職場を選ぶ自由や暮らすのに優良な自治体を選ぶ自由など、数多くの柔軟性を犠牲にすることです。 とはいえ、持家を取得することは、自動車を買うのと同様に、損得の問題だけでは語れない、価値観の話でもあります。住居というのは、人によってプレミアムの異なる典型的な商品です。住居を購入するという行為そのものは全く問題ではありませんし、現実に僕も持家に憧れています。また、今回エントリにしたのは、住宅購入をマクロな視点から見たものであって、ミクロな個々の売買においては、今後も住宅投資で儲かったりするケースも少なくないと思います。 僕が最も大きな問題だと思うのは、投資対象としては、これだけ不確実性の高いものを巨額な借金をしてまで買うという行為です。場合によっては、いわゆる「夢」のために、生死を賭けたギャンブルをすることにもなりかねません。 家は潜在的には誰もが欲しいものだからこそ、それを取得する場合の機会費用をよくよく考え、持家取得によって具体的に何をあきらめることになるのかをはっきりさせておくべきだと思います。現代の日本では、住宅を取得するリスクは明らかに上昇しています。それでも借金をして住宅を購入すると決めた場合は、とにかく金利の低いうちに繰り上げ返済をしてしまうことが重要だと思います。 「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるでもない。唯一生き残るのは、変化できる者である。」(おしまい) ●追記(2011年2月23日) 「ゾッとする国土交通省のレポート」も読んでみてください。こういうことを知らずにローンを組むことは、オススメできません。 (注1)例えば、日経BPの記事 (注2)例えば、東京大学大学院経済学研究所のレポート (注3)例えば、住友不動産販売のレポート (注4)企業が移転を画策する要因としては、労働力人口の減少と、減って行く国内需要のパイを巡って激化する企業間競争に勝つためのコスト削減が考えられます。労働力人口が大きく減る問題点と、それに対して企業が取りうる対策などに関しては『「人口減少経済」の新しい公式 (注5)『フラット化する世界 (注6)本来は、燃料を積んだ飛行機が、飛び立った飛行場に戻ることができるギリギリの点のことです。もう戻れないだけでなく、これから起こることを覚悟しないとならないというニュアンスが込められています。温暖化問題に関しては、アメリカの元大統領候補、アル・ゴア氏の活動を取り上げたドキュメンタリー映画『An Inconvenient Truth』(音が出ます)が秀逸です。 (注7)残業代がゼロとなる「ホワイトカラー・エグゼンプション」や「正社員と非正規社員の格差是正のために、正社員の待遇を非正規社員の水準に合わせる」といった話も、賃金抑制のために現実化して行くでしょう。 (注8)例えば、日経住宅サーチのレポート ![]()
タイトル : 古い家の価値
前回のエントリ「楽しまないと損――住宅の趣味性」の中で、資産形成という面における、ローンを組んでの「持ち家」のリスクの考え方をざっくり紹介した。それらのリスクのうち、古い家には資産価値がほとんどない、という点について少し考えてみたい。資産形成の指南者が古い家に資産価値はないと言ってしまうのは、売り物としてまともな値段がつかないところからきている。それにはいろいろな理由がある。・そもそも日本人は新しいもの好きで、文化財でもないかぎり古いものに価値があるという発想はあまりしない。・日本には中......more こんにちは。さっそく訪問してみました。このブログをはじめて見てNED-WLTさんの情報収集力と考察力に驚きました。おっしゃるとおり住宅事情は人口減少に伴い変化するでしょうね。最近では老後は生活費の安いマレーシアやタイなどに移住する人も増えてきているようですし、少子化と合わせて将来需要過多が加速する要因になるかもしれません。個人的には東京都心の家賃が下がってくれると嬉しいんですけど、人口が減っても需要が減らない聖域になっちゃいそうだなあ。。。 また遊びにきますね。 持ち家に関するNED-WLTさんのお考え,ドキドキしながら読みましたが、最後まで読んで、よかった...ホッ、という気持ちです。 私の年令で家族を持っている友人の多くは持ち家です。家賃がもったいないじゃない、ってよく言われますが、我が家の場合は、引っ越しが多かった、という理由でこれまでずっと賃貸でした。今、引っ越しは今後おそらくない、という状況で賃貸に住み続ける理由は、変化する社会、我が家の形態、ライフスタイルにあわせて柔軟でありたいからです。家という大きな買い物をしてしまったら、一生そこにこだわり、縛られそうな気がして怖いんです(臆病者・笑)夫の仕事、子供達の学校などで動かざるを得ない状況になったとき、何の迷いもなく、新たな土地に住居を求めるには賃貸の方が気楽なのです。もっと遠い将来、子供達が巣立った後に、夫婦二人になったら交通の便の良い街中にマンションを借りるとか。とはいえ、家を建てた友人をどうしてもうらやましく思ってしまいますけどね。NED-WLTさんの詳しいデータに基づく記事を読んで、やっぱり賃貸でいいかも、と思った私です。 ムッシュと結婚してすぐに、人生におけるお金の話をしました。 教育費、娯楽費、持ち家、老後を考え、これからのどうなるかわからない世の中、何を削るかを考え、真っ先に持ち家を消しましたww 転勤族というのもありますが、ずっと同じ家に住み続けるのも飽きるよねwという二人の趣味もあります。 でも、周りを見渡すと、そんなに余裕のなさそうな方がたに限って、 若いうちに家を建てているんですよね・・・。 それも理由が「車があって持ち家があって一人前だから・・」というなんとなくな理由なので、ムッシュも勝手に心配しています。(でも何も言わないみたいですが) ムッシュと私が特殊なのかなと思っていたのですが、NEDさんの エントリを見て、ちょっと安心しました。 どうしても持ち家が欲しくなったら、お金がたまって定年近くなって、 借金なしで現金払いで買おうと思っています。 私はいろいろ悩んだ挙句、持ち家組です。しかし、単身赴任なので、私が住んでいない時間のほうが長くなってます。私の部屋だったところは子供の物に・・・一時帰国しても居場所がなくて困ります。(笑) 最後のダーウィンの言葉。私も肝に銘じている言葉なんですが・・・・・ *Hiroさま ようこそいらっしゃいました(笑)。老後の問題は、人口減少の時代には特に心配ですね。「我々の年金はどうなるのか」、っていう疑問のレベルは既に終わっていて、むしろ「実質的な年金無しでいかに生きるか」ということがテーマになって来ているように思います。また、出生率予測というのは、これまで毎度下方修正されているものですので、現在の厳しい見通しですら、まだまだ楽観的なものだという認識が必要かもしれません。 僕も遊びに行きます。今後とも、よろしくお願い致します。 *shipmaker2さま 持家には、車と同じで第三者に対する「ステータス」が付随しているんですよ。ブランドみたいなものです。持家がないと一人前じゃない、みたいなこと。くだらないと思いつつも、自分自身がそうした価値観を否定しきれないんです(笑)。住み心地の良い、安全な「巣」を持つということは、ほとんど本能にインプットされているんだと思います。これに抗うのは容易ではないです。 時に、流れに身を任すのも戦略ですが、あくまで自分で自分の将来をコントロールしたいと考えるのであれば、ローンを組んで持家を取得することには反対です。でも・・・それでも欲しいと思ってしまいます。欲しいという感情を抑えることが、あまりに大きなストレスとなる場合は、買うことも考えるべきだと思います。難しい問題ですね。 *マダム・サオンヌさま 激しく同意です(笑)。トゲのある言い方をすれば、自分の実力に問題のある人に限って、目に見えるステータスにこだわる傾向があるのではないかと勘ぐってしまいます。でも、車と持家があれば一人前なんて・・・そんなわけ無いじゃん!って思いますが、現実には、自分自身が、車も持家も欲しいんですよね(笑)。難しい問題ですね。 ところで、持家派ではなくて借家派という人々は、間違いなく増えていると思いますよ。決して特殊な人々ではありません。単純に、そんなことをメディアで発言すると、色々な意味で強力な建設業界を敵に回しかねないという理由で、発言数が少ないだけではないかと思います。 *goldratt_comさま もちろん、持家派が間違いということではないです。ローンではなくて一括で買うのであれば、何の問題もありませんし、長期ローンで買うにしても、テクニカルにリスクを減らす方法もあります。 重要なのは、人口減少という現実を考えた場合、現代の日本において、一括払いや、完全な投資目的として自宅以外の持家を所有する場合などを除けば、持家を取得するというリスクは非常に高いものであるという点を認識することです。皆が欲しいものなのですから、ついつい分析が甘くなってしまうのも持家取得の特徴だと思います。これはマズイと感じたら、売れるうちに売ってしまうのが吉だと、僕は個人的には思います。 マイホームを買う(日本の場合): http://d.hatena.ne.jp/anthony-g/?of=0 この記事は、オモシロイ。 *snowbeesさま お久しぶりです。最近、コメント頂いていなかったので、飽きられちゃったかな、なんて思っておりました(笑)。リンク先の記事も、大変興味深く読ませて頂きました。図らずも、僕と同日にアップされているのですね。また、面白い情報があったら教えて下さい。 http://blog.goo.ne.jp/yamazaki_hajime/e/e39380e9b14d37c5aae53f303fc6afd1 賃貸派である山崎・評論家の意見です。これもお奨めです。 *snowbeesさま これまた非常に面白いエントリでした。随分と勉強になるブログですね。お気に入りに登録しちゃいましたよ(笑)。他のエントリも読んでみることにしました。また、こういうのがあったら、お時間の許す範囲で、よろしくお願いします。 特に、賃貸派の意見はだいたい解ったので、サイバーカスケードを避けるためにも、持家派のロジックを紹介したエントリなどがあったら、是非紹介して頂きたいです。 北陸3県はリッチである。 http://www.mainichi-msn.co.jp/tokusyu/shiritai/archive/news/2006/08/20060805dde001040012000c.html *snowbeesさま ありがとうございます。当然、こうした話は場所によりけりということですね。特に家を買う場合は、良い自治体、厳しい自治体の差というのは、きちんと調べたほうが良さそうですね。 遊牧民のような方もいます。 QUOTE私自身は、国から国へ、会社から会社へと、渡り歩く遊牧民みたいなものですから、「会社に帰属することに意義を見出す」メンタリティが、なかなか理解できません。これまで、2~3年毎に、勤め先を変わり続けてきてますもんね。♪~薄情そうな渡り鳥~♪ UNQUOTE Mr.遊牧民のサイト: http://www.manachan.150m.com/j_sydney_work097.htm *snowbeesさま これまた、面白いサイトですね。本当に、色々な人がいますね。これだけ遊牧民的な暮らしが出来る人というのは、それだけ世界中どこでも仕事が出来るようなスキルをお持ちの方だということですから、まあ、例外的と考えないとならないのでしょうが、それにしても凄いですね。 http://www.yomiuri.co.jp/homeguide/news/20060626hg01.htm アメリカLA市の建築安全局による検査です。日本の「アネハ事件」とのギャップは、絶望的です。 *snowbeesさま またまた、興味深い記事を紹介していただき、ありがとうございました。日本のマンションなどは、建築の強度などにごまかしがある可能性が随分高いようですね。たまに聞く欠陥住宅なども、実際には報道されている以上に多いのでしょうね。家をローンで購入するという行為は、やはりどう考えても庶民にはリスクが高すぎるように思います。 http://homepage2.nifty.com/kekkanzenkokunet/2-6-15-2-3=taishingisou-watashinokangae.htm 耐震偽装に関する、日系アメリカ人の亀井・設計士によるコメントも、面白い。ところで、日本の建築業界では、売り手の利益を最優先しており、かつ反倫理的な無法者を放置している。百年河清を待つか? *snowbeesさま
これも大変貴重なコメントですね。大手のマスコミでは、広告主などとの摩擦を避けるためなのか、こうした問題を正面から取り上げて、リスクを正しく伝えるような活動が少ないような気がします。
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